快人69面相 -小林少年の夏の思い出 11

日曜日, 5月 30, 1993

 もちろん、小林少年は藤田さんのことをみんなにしゃべったりはしませんでした。
「どうだった。」
広田君にそう尋ねられても、
「藤田さんも違うと思うんだけど……。」
小林少年は、わからないふりをしました。そう言いなが、藤田さんの、あのぎりぎりまで押し拡げられるような感覚を思い出していたのです。
「と、いうことは……。」
広田君は、額にしわを寄せて考え込んでしまいました。
「きっと、通りがかりのハイカーか何かが小林君にいたずらして、広田君が帰ってきたのであわてて逃げて行ってしまった、ということなんじゃないかな。」
藤田さんは落ち着き払ってそう言いました。
『藤田さんがいたずらしたんだ』
小林少年はそう叫びたかったのですが、まだぴんぴんになったままの淫乱棒と、藤田さんの肉棒を突っ込んで欲しくて火照っている尻の穴が、それを許しませんでした。
「そうですね、きっと。」
藤田さんに言われて、広田君も、あっさりと納得してしまいました。
「まあ、そんなところでしょう。」
他の人もうなずいています。
『結局、僕は、何のためにみんなに犯されたんだろう』
小林少年は、独り、割り切れないものを感じていました。けれども、他の人は、棚からぼた餅で小林少年をおもちゃにすることができて、十分満足しているようです。
「じゃあ、みなさん、ご協力どうもありがとうございました。」
広田君がお礼を言って、みんなそれぞれのテントに帰っていきます。
「結局なんだったんだろう……。」
小林少年は、思わずつぶやきましたが、
「いいじゃないか、小林君もずいぶん楽しんだみたいだし……。」
広田君にそう言われてしまうと、返す言葉がありません。
 広田君は、さっきの外部犯人説を単純に信じているのか、あっけらかんとしています。小林少年は、本当のことを言うわけにもいかず、小さな胸を痛めることになってしまったのです。
「晩飯をつくらなくちゃ。」
でも、広田君のその言葉に、
「僕も手伝うよ。」
すっかり元気になってしまう小林少年は、やっぱり色気も食い気も育ち盛りなのです。
「じゃあ、小林君は、野菜を持っていってくれ。」
飯ごうをぶら下げた広田君といっしょにキャンプ場の水道へ行くと、ちょうど、藤田さんも下ごしらえをしているところでした。
「やあ、君たちもこれから食事かい?」
その藤田さんの笑顔からは、さっき小林少年をいたぶっていたときの卑わいな藤田さんはとても想像できません。
「そうなんです。」
広田君も笑顔で答えました。その広田君の笑顔からも、きのうのアパートでのエッチな広田君は想像できません。こんなにさわやかな笑顔をしているけど、二人とも本当はすごくエッチなんだ、と小林少年は思いました。
『笑顔のセクシーな人は、みんなエッチなのかな。』
と小林少年が考えていると、
「よかったら、俺といっしょに飯にしないか?」
また、藤田さんが危ない申し出をしました。
「え、いいんですか?」
広田君は、妙にはしゃいでいます。
「もちろんだよ、俺は、キャンプの飯作りには自信があるんだ。」
広田君は、小林少年の渋い顔など気がつかないようで、
「それは心強いなあ。」
すっかり藤田さんに甘えてしまうつもりなのです。広田君が小林少年を振り返って、
「小林君も、いいだろ?」
と言うのを見はからって、藤田さんは、にやっ、と笑いながら小林少年にウィンクしました。
「はい。」
もちろん、小林少年に選択の余地はありません。
「じゃあ、決まりだな。」
まあ、仕方がないな、と小林少年は思いましたが、実は、藤田さんには、小林少年も負けそうなくらいの淫乱な下心があったのです。
 自信があると言うだけあって、キャンプ場での食事にもかかわらず、藤田さんの作ってくれた料理は、どれもなかなかのものでした。
「ビールもあるぞ。」
藤田さんは、缶ビールを取り出して、広田君に勧めます。
「小林君は未成年だからダメだな。」
本当は、藤田さんは、小林少年にもアルコールを飲ませたかったようなのですが、広田君がそう言うので、小林少年はジュースの缶になってしまいました。
「本当に、おいしいですね。」
広田君は、んぐんぐ、と缶ビールを空けていきます。藤田さんも負けずに飲んでいる横で、小林少年は仕方なく、藤田さんの料理を食べることに専念していました。
「あー、満足した。」
広田君と小林少年は、藤田さんの用意してくれた食事を、ぺろっ、とたいらげてしまいました。テーブルには何枚もの空になった皿と、
「そう言ってもらえたら、俺もうれしいよ。」
広田君と藤田さんの間には、一ダース近いビールの空き缶が並んでいます。広田君は、うーん、と大きくのびをしてから立ち上がって、
「ちょっと失礼……。」
草むらの方に入っていきました。ショートパンツをはいていても、広田君の引き締まった尻は、尻の筋肉が盛り上がっているのがわかって、かえって卑わいな感じです。その広田君の後ろ姿を見ていた藤田さんも、
「じゃあ、俺も、ちょっとつきあってくるかな。」
と、広田君の後を追って、草むらに入っていきました。
 背の高い夏草をかき分けていくと、ちょっとした広場がありました。広田君は、とりあえず排泄の欲求に迫られていたので、後ろから藤田さんがその広場に入ってくるのにも気づかず、手早くショートパンツをずり降ろすと、勢いよく放物線を描き始めました。
「たくさん出てるじゃないか。」
その声は、藤田さんです。
「俺も、連れションしようと思って……。」
広田君は、ショートパンツをずり降ろした格好が恥ずかしかったのですが、ちょうど勢いよく飛ばし始めたところだったので、どうすることもできません。
「……。」
藤田さんも、勢いよく水音をたてています。
「ちょっと飲みすぎたかなあ……。」
先に小便の終わった藤田さんは、そのままじっとして露出したままです。
「ふう……。」
藤田さんは、終わってしまっても露出したままです。藤田さんのものが気になって、ちら、と横目で藤田さんの下腹部に目をやった広田君は、そのまま目が離せなくなってしまいました。藤田さんは、両手を腰に当てて立っているのですが、その下腹部からは赤黒い肉棒が、隆々と夜空に向かって勃ち上がっているのです。
「……。」
思わず広田君は、生唾を飲み込んでしまいました。広田君は、藤田さんの逞しいものから視線を逸らすことができません。
「もっとよく見ろよ。」
藤田さんは、体を広田君のほうに向けて、ふてぶてしいくらい逞しいものを広田君に突きつけるようにしました。
「す、すごい……。」
藤田さんの反り返ったものを見たとたん、広田君のものもぐんぐんと鎌首を持ち上げつつありました。広田君は、自分が勃ってしまったのを何とか隠そうとしましたが、ぴんぴんになってしまってはどうしようもありません。
「君のもすごいじゃないか。」
藤田さんは、広田君が隠しきれずにいる勃起を見つけて、にやっ、と笑いました。
「ほら……。」
藤田さんは、広田君の手首を握ると、自分の下腹部から伸び上がっているものに押しつけるようにするのです。
「熱い……。」
広田君が握り締めたものは、かちんかちんでやけどしそうなくらい熱く火照っています。
「……。」
広田君も、自分の肉棒が藤田さんの手にぐっと握り締められるのを感じました。
「このまま君を、俺のテントに連れ込みたいところだが……。」
藤田さんの声が、広田君の耳元で響きます。
「実は、先約があるんだ。」
藤田さんは、ちょっと困ったように言いました。
「俺、このままじゃ、我慢できない。」
広田君は、だいたいのところは想像がついていましたが、そう言ってすねてみせました。そして、
「こいつが、藤田さんのおもちゃにして欲しい、って……。」
広田君が、自分の下腹部に、びくん、と力を入れながら言うと、
「淫乱な奴。」
藤田さんの目はきらきら輝いています。
「後でたっぷりかわいがってやるから、今はこれで……。」
藤田さんはそう言いながらいきなりしゃがみ込むと、広田君のおもちゃを、ぺろっ、と舌でなめあげました。
「ううっ……。」
下腹部から背中にかけて、ずきっ、と快感が走るのを感じて、広田君は、思わず声を上げてのけぞってしまいました。それなのに、
「じゃあ、後で、待っているよ。」
藤田さんは、ぼーっ、となっている広田君を残して、小林少年が待ちかねているテントの方へさっさと帰っていってしまうのです。仕方なく広田君も、自分の下腹部のぴんぴんになった『おもちゃ』をショートパンツに押し込む努力を始めました。
 二人がなかなか帰ってこないのを、小林少年は、怪しい、と思っていらいらしていました。
『きっと、二人でいやらしいことをやってるんだ。』
ところが、やっと草むらから出てきた藤田さんが、
「後で、俺のテントに来いよ。」
とウィンクしてくれたので、
『あれ、それじゃ、二人には何もなかったのか。』
と、はぐらかされたような気持ちでした。
「遅かったじゃないですか。」
後から帰ってきた広田君にそう言ってみても、
「いやあ、いっぱい飲んだから、なかなか終わらなくって……。」
広田君も、ちょっと酔ったような顔をしてそう言うだけです。体と違って頭のほうはまだまだ純情な小林少年は、それですっかりだまされてしまいましたが、広田君が酔っていたのは、さっき広田君の肉棒をなめた藤田さんの舌の感触だったのです。小林少年をだました広田君も、藤田さんに草むらの中でもてあそばれていたわけですから、結局、一番の悪者は藤田さんではないでしょうか。
「ちょっと飲み過ぎちゃったかな。」
広田君は、うーん、とのびをしながらそんなことを言っています。
「そろそろ寝たほうがいいかもしれないな。」
藤田さんも、それに調子を合わせるようなことを言います。
「じゃあ、もう、引き上げようか。」
広田君は、眠そうな顔をして、小林少年にを振り向きました。
「えー、もう寝ちゃうんですか?」
良い子はもう寝る時間なのに、小林少年はあまり良い子ではなさそうです。ちょっとすねていた小林少年ですが、
「君だって、いろいろ疲れただろ?」
広田君にそんなことを言われてしまっては、しぶしぶうなずくしかありません。
「それじゃあ、……。」
広田君は、まだ不服そうにしている小林少年を残して、さっさと自分たちのテントに引き上げていきます。取り残されてしまった小林少年に近づくと、
「きっと、彼はすぐ眠っちゃうから……。」
藤田さんは、小林少年の引き締まった尻を、すっ、と撫でながら、耳元でそうささやきました。
「えっ……。」
小林少年は、きゅうに元気になって、広田君の後を追ったのです。