快人69面相 -小林少年の夏の思い出 7

日曜日, 5月 30, 1993

 そんなわけで、広田君と小林少年のテントの前に、このキャンプ場に居合わせた人たちが集まりました。
「誰も怪しい男を目撃してないとすると……。」
広田君は、あごに人差し指を当てて考え込んでいます。
「やっぱり、この中に、犯人がいるんじゃ……。」
みんなが思っていて口に出せなかった言葉を、大田君があっさり言ってしまいました。
「でも、誰が……。」
小林少年は、犯人が誰でもいいような気がしています。というのも、ここにいる人たちなら誰に犯されたのでもいいや、なんて勝手なことを思っているからです。でも、そんな小林少年の気持ちには気づかず、
「うーん。」
みんな考え込んでしまいました。このままでは、どうしようもないと思った広田君は、
「これはやはり、小林君の体に聞くしかないな。」
と、とんでもないことを言い出したのです。
「ええっ?」
小林少年は、広田君の言い方に不吉なものを感じましたが、ちょうどその時に、
「どうしようというんだね?」
藤田さんがそう言ったので、何も言えなくなってしまいました。
「……。」
広田君は、もったいぶって、ゆっくりと小林少年の前まで歩いてくると、
「犯人の手がかりになるのは、小林君の感覚だけです。唯一、小林少年の尻の穴だけが、いたずらをした犯人の感覚を憶えているのです。……だから、みなさんに一人ずつ小林君の尻の穴に突っ込んでもらえば、その感覚と同じ人が誰かわかるでしょう。」
冗談じゃない、と、小林少年は、抗議のため立ち上がろうとしました。
「なるほど、それはいい考えだ。」
でも、また一足速く、藤田さんが立ち上がってしゃべり始めたので、小林少年は抗議するタイミングを逃してしまいました。
「確かに、これならごまかしようがないな。勃起したときの形は、変えようがないからな。」
小林少年はすっかりあせっているのですが、みんなそんな小林少年を無視して、なるほど、それはいい考えだ、などと感心しています。
「で、でも、そんな感覚だけじゃ……。」
小林少年は、なんとかやめさせようとするのですが、
「処女に近い小林君なら、感覚だって鋭いから、区別できるだろ?」
広田君にそんな言われ方をしてしまっては、
「ま、まあね。」
それ以上、なんと言えばいいのかわかりません。
 結局、みんな、小林少年を自由に味見することができる、というこのチャンスを見逃す手はない、と思っているのです。
『こんなひどいことを言い出した広田さんも広田さんだけど、納得してしまうみんなもどうかしている。』
小林少年は一人憤慨していましたが、
「じゃあ、さっそく一人ずつ……。」
事態はどんどん進んでしまっています。
「でも、みんなに見られながらじゃ、ちょっと……。」
柴山君が、ちょっと恥ずかしそうに言うと、
「たまには、俺だけじゃなくて、いろんな人に見てもらうのもいいじゃないか。」
中村さんが柴山君の脇腹をつつきながらそう言ったので、柴山君は、もっと恥ずかしそうにうつむいてしまいました。
「まあ、見られるのが好きな人もあるだろうけど、そうじゃない人もいることだろうから……。」
藤田さんも、そこまではっきり言わなくてもいいのに、柴山君は耳たぶまで真っ赤になってしまいました。
「では、プライバシーの問題がありますから、一人ずつこのテントに小林君といっしょに入ってもらいましょう。」
テントに入ったくらいでは、直接見えないというだけで、プライバシーとはほど遠い、と小林少年は思いましたが、よく考えてみると、いつのまにか、小林少年は、みんなに輪姦されることになってしまったのです。
『これから、僕は、みんなにまわされるんだ。』
そう考えただけで、小林少年は、ショートパンツの中身がむくむくと大きくなりそうなのを、必死でこらえなければなりませんでした。
「順番を決めないと……。」
広田君がそう言う前に、
「僕たちからにしてください……。」
大田君が手を上げました。
「じゃあ、大田君からで……。」
広田君がそう言いかけると、大田君は平気な顔で、
「僕たちは、二人いっしょでいいですよ。お互いに見られるのは気にならないですから……。」
と言いました。岡崎君も、
「えーっ……。」
なんて言いながらも、もうすっかりその気になって、スウェットパンツの前がテントを張っています。というわけで、大田君と岡崎君と、そして小林少年が三人で一つのテントに入いることになったのです。