Sexual Harassment 3

土曜日, 3月 28, 1998

次の日に出勤した俺は、心臓が止まってしまうかと思うようなショックを受けた。
「おはようございます。」
あいさつした俺に、課長が、ちょっと振り返り、
「やあ、おはよう。」
俺と視線を合わせた。その視線、その横顔は、紛れもなく、きのう、夜の公園ですれ違った男の横顔に違いなかった。あのときの俺は、べとべとのケツ割れにジーンズをはいていて、ジーンズの上からでもわかったに違いない。
「どうした、顔色が悪いじゃないか。」
課長は、にや、と笑って、
「夜遊びが過ぎたんじゃないのか?」
俺のスーツの股間に、ちら、と視線を落とした。俺は、自分のスーツの股間に、きのうのケツ割れの体液の汚点ができているような錯覚にとらわれて、思わず、自分のズボンの前を確かめてしまった。
蒸し暑い日なのに、課長は、わざわざ俺の席まで来て、
「ちょっと悪いんだけど、これ、行って来てくれるかな。」
俺に外出を言いつける。俺は、仕方なく、
「じゃ、行って来ます。」
帰ってくれば、すっかりシャツはべとべとで、仕方ないから、更衣室で着替えることになる。こういうときのために、無難なネクタイと白いシャツは更衣室に用意してあるので、俺は、課長への報告を済ませて、そのまま更衣室に直行した。
「暑かったなあ……。」
俺が、ネクタイをはずしてシャツを脱いでいると、更衣室に課長が入ってきた。課長は、自分のロッカーを開けてなにやらごそごそやっているが、どうやら、目的は俺の着替えを視姦することのようだ。俺は、仕方なく、汗に濡れたTシャツを脱いで上半身裸になった。課長が俺の裸をじっと見つめているのが痛いほど感じられた。上半身の裸を見られたくらい、どうってことはないはずだが、俺は、公園での自分の痴態を思い出して、ぎこちなくなってしまった。
「いい体だな。」
その声に、はっ、とすると、いつの間にか、課長が俺の横に来ていた。
「何かスポーツをやってたのか?」
俺は、課長と目を合わせることができなかった。
「高校の時に、水泳を……。」
そういうのが精一杯だった。
「そうだろうな、この胸の逞しさは。」
課長の手が俺の胸に伸びてきて、はっ、と、俺が体を堅くしたときに、
「うっ……。」
課長は、いきなり俺の乳首を指先でつまんだ。
「ああっ……。」
俺の全身に電流のような感覚が走った。課長にも、きっと、俺が感じてしまっているのがわかったに違いない。そして、俺の下半身の導火線にも火花が走った。
「さっさとシャツを着ないと風邪をひくぞ。」
俺は、言われるまでもなく、シャツを着てネクタイを締めたが、ズボンの下のビキニがぐんぐん張り切っていくのをどうしようもなかった。
「乳首をつままれたくらいで、どうしちゃったんだ、俺は。」
何か別のことを考えようとしても、つい、課長につままれた乳首の感覚を思い出してしまって、ビキニの中で痛いぐらいの堅さを保ったのものは萎える気配がなかった。
「困った……。」
俺は、上着でズボンの盛り上がりを隠して、更衣室からトイレに駆け込んだ。個室に入って、ズボンをずり降ろすと、ビキニを突き上げているものの先端には濡れ汚点ができていた。そのビキニをずらすと、ぎんぎんのものが粘液を滴らせながらへそに向かって、ぐん、と伸び上がった。俺は、できるだけ音を立てないようにして、そのびんびんのものをしごいたが、すでにぬるぬるになってしまっているので、握った手でしごくたびに、かすかに、ぐちゅぐちゅ、という音がした。トイレットペーパを重ねたものに放出しながら、俺は、
「うっ。」
と、小さくうめき声を上げてしまった。一発抜いて、やっと萎え始めたものをビキニブリーフに押し込むと、シャツとズボンを直して個室を出た。すると、手洗いの鏡のところに課長が立っていて、鏡の中から俺の視線をとらえて、にや、と笑った。
「すっきりしたか?」
課長は、そのままトイレから出ていったが、俺が、個室で自分のものをしごいている、ぐちゅぐちゅ、という音を聞かれたのは間違いない。俺は、思わず赤面してしまいながら、『すっきり』したはずの下半身が、また、熱く堅くなってきてしまうのを感じていた。
その後、俺は、自分の下半身のうずきを我慢しながら終業時間をひたすら待っていた。
「あ、君にメールで送ったWebサイトのリストの内容なんだけど、今日中にレポートにまとめてもらえるかな。」
そろそろ終業時間だと思って喜んでいた俺にとって、それは、つまり、残業しろ、という意味だった。
「はい、わかりました。」
しょうがなく、しぶしぶうなずいた俺は、課長からのメールを画面に表示した。画面に向かっている俺の顔をのぞき込むようにしながら、
「業務命令だからな。」
課長は意味深な笑いを残していった。俺は、それを単なる課長のいじわるだと思ったが、すぐに自分の浅はかさを思い知ることになった。
「どうせ、難しそうなものに違いないな。」
課長からのメールには、5つくらいのURLが書かれていた。そのうちの1つ目のサイトは、英文がぎっしり詰まったページだったが、どう見ても、小説の体裁だった。しかも、内容が、なにやら、怪しげな……。ちらちら読むと、どうやら、オフィスで、ボスから犯されるサラリーマンの話らしい。そのすけべなストーリーをだいたい理解できるくらいまで内容を読み進む頃には、俺の下半身はぎんぎん状態になってしまっていた。俺が、ごくり、と生唾を飲み込みながら、ちら、と課長のほうへ目をやると、どうやら最初から俺のことを観察していたらしい課長が、ニヤッ、と口の端を歪ませた。俺は、あわてて課長から画面に目を戻して、次のURLに取りかかった。そのアドレスを呼び出して、画面が出始めた時、俺は、思わず体で画面を隠すようにしてしまった。PCの画面には、逞しい男が両足を椅子に縛られながら、ケツ割れの脇から引きずり出されたものをそそり勃たせている写真が出てきたのだ。しかも、そのそそり勃ったものの根本はロープで縛られて、前のほうへ、ぐいっ、と引っ張られている。俺は、パニックになって、思わずそのウィンドウを閉じながら、あわてて周りを見回した。終業時間を過ぎて帰り仕度をしている人たちは、誰も、俺のPCの画面に映し出されたものに気づいていないようだった。唯一、課長だけが、俺のパニックを理解していた。
課長のメールにあったそれ以外のURLは、十分俺が赤面するようなすけべな画像ばかりだった。中には、ケツ割れをはいたまま、ケツの穴にディルドをぶち込まれているようなものもあって、その画像を見た途端、俺は公園でのことを思い出して、さっきからズボンの中でいきり勃っているものの先端に、粘液がにじみ出すのを感じていた。こんなものを会社のPCの画面に出していいのか、と思いながらも、俺は、その画像を見ずに入られなかった。他の人からは見えないように、自分の体でガードして、俺は、画面に見入っていた。
「どうやら、それが一番気に入ったようだな。」
人の気配に驚いて振り向くと、課長が俺の後ろに立って、俺の前の画面をのぞき込んでいた。
「あ、課長……。」
その画面には、ケツ割れをはいたまま別の男のでかいものをケツの穴に受け入れている画像が表示されていた。
「公園でのことを思い出しているんだろう。」
どの画像もケツ割れをはいて、ケツの穴にいたずらをされていたり、別の男のぎんぎんのものをぶち込まれていたりする画像ばかりで、俺の公園での痴態を意識して課長が選んだのに違いなかった。公園での俺は、つまり、課長の目には、これらの写真と同じぐらい卑わいに映ったんだろうか。あの時の快感がを思い出して、俺は、全身が、かっ、と熱くなった。赤面した俺の困惑を楽しむように、課長は、
「あの時は、俺も、目の保養をさせてもらったぜ。」
そういいながら、ニヤッ、と笑ってみせた。あの時、いつから見られていたのかはわからないが、少なくとも、俺が行きずりの男のものをケツの穴にぶち込まれたまま獣じみた声を上げて、ケツ割れの中にぶっ放すところは見られたに違いない。
「じゃ、今日中にレポートをまとめてくれよ。」
課長は、俺に言い残して、自分の席へ戻っていった。
『レポートをまとめろ、っていっても……。』
俺はいったいどうすればいいのかわからず、といって、PCの画面に映し出された卑わいな画像から目を離すこともできずにいた。