こけし太郎

金曜日, 2月 28, 1986

 ですから、若者が、名残惜しそうに太郎の肉棒を手放した時、太郎は、へたへたと床に座り込んでしまったのでした。
「よし、それでは、これから、本当の試験をする。」
若者は、にやっ、としながら太郎にそう言いましたが、そもそも太郎は、これが試験だと思っていなかったので、何のことやらさっぱりわかりません。
「そ、その、本当の試験というのは、いったい何の試験なのですか?」
太郎が、快感の名残で弾んでいる声で若者にそう尋ねると、今度は、若者の方が不思議そうな顔をしました。
「おまえは、何も知らずに試験を受けに来たというわけか?」
そして、相変わらず太郎が、きょとん、としているのを見て、また、にやっ、と笑い、
「それなら、なおのこと、好都合だ。」
と、相変わらずかちんかちんに突き出した太郎のものをぎゅうっと握って言いました。
「俺が何もしなくて、見つめられているだけで、こんなに堅く勃ててしまうぐらいだから、充分素質はあるんだろう。」
そして、それを握ったまま、
「次の間へ行こう。」
太郎を、次の間へ引き立てていったのでした。
 そこは、四畳半ほどの部屋で、部屋いっぱいに布団が敷いてあります。
「こ、ここは……?」
太郎は、思わず、声がうわずってしまいました。というのも、部屋の入り口の襖といい、衝立といい、極彩色で絵が描かれているのですが、それが、みんな野郎同士のからみを描いた絵なのです。
「ここは、俺の寝室だ……。」
床の間には、ちゃんと掛け軸もかかっていましたが、それにも、幼さの残る、ちょうどこの若者くらいの年の野郎が、太郎ぐらいの野郎の恐ろしいぐらい太いもので貫かれて、歓喜の表情を浮かべている絵なのです。
「こ、ここで、何を……。」
太郎は、生つばを飲み込まないではいられませんでした。
 若者は、太郎の質問には直接答えず、さっさと着物を脱いで、若々しい褌姿になりました。つやつやと張り切った筋肉も立派でしたが、きつく締め込まれた褌を、斜めに大きく盛り上げているものの大きさに、太郎は、視線が釘付けになってしまいました。
「す、すごい……。」
若者は、そんな太郎の様子を面白がってみていましたが、やたげ、褌の脇から指を突っ込んで、前褌を横にずらすようにして、その巨大なカリ首から根元まで引きずり出しました。
 褌の外に出て自由になった若者のものは、ぶるん、と大きく揺れると、ぐっ、ぐっ、とますます充血して膨れあがり、腹を叩かんばかりに勃ち上がりました。
「どうだ……。」
若者が、ぐいっ、と腰をそらして、勃ち上がっているものを太郎の目の前に突きつけたので、太郎は、もう立っていることさえできません。
「なめろ。」
太郎は大きく口を開けて、その赤紫色に熟れきった、若者には似合わないぐらいふてぶてしいものをほおばりました。
「うぐっ……。」
それでも、それは、やっと半分ぐらいが入ったところで、太郎の口いっぱいになってしまいます。
「もっとちゃんと舌を使うんだ。」
若者は、太郎の口の感触を楽しみながら、手を腰に回して締め込んでいた褌を解き始めました。
 久しぶりに、汗の味のする本物の熱い肉棒を夢中で味わっていた太郎ですが、若者がそれを口から引き抜いてしまったので、ちょっと不満そうな顔をして、若者の下腹部からいきり勃ったものを見上げました。
「そんなに不満そうな顔をして、まだなめ足りないのか?」
若者はにやにやしながら、太郎の唾液でてらてら光っているものをちょっと扱いてみせました。
「もうちょっと……。」
なめていたかった、とはさすがに言いかねて、太郎は顔をそむけてしまいました。すると若者は、その肉棒で太郎のほおを、ぴたん、ぴたん、と叩いて、
「こいつをくわえることができるのは、口だけじゃないだろう?」
と、太郎の心の中を見透かしたような笑い方をするのです。
 若者のその言葉を聞くと、太郎は、自分の尻の穴が、ずきん、と疼くのを感じました。
「……。」
太郎は、若者の言葉の意味がわからないふりをしましたが、ほおはほてって、自分の肉棒から粘液が、つつっ、とあふれるのを感じていました。
『こんなに大きいものを入れられたら、どんな感じなんだろうか。』
太郎は、全身が熱くなるのを感じました。
「まさか、全然やったことがないわけじゃないだろう、これだけ反応しているのに。」
若者が、足の指で、太郎の下腹部を、ぐりぐり、もみ立てるので、太郎は思わず、
「ううっ……。」
とうめき声を立ててしまいました。