こけし太郎

金曜日, 2月 28, 1986

 はっ、と気がつくと、太郎は、首のあたりまで青臭い匂いを迸らせたままで横たわっていました。しかも、その尻の穴には、例のこけしが、ぐっ、と根元まで埋め込まれていたのです。
「あ、うっ……。」
埋め込まれたこけしを、尻の穴から引きずり出しながら、太郎は、また、ちょっと体をけいれんさせなくてはなりませんでした。
「次郎のも、よく、ここでひっかかったなあ。」
大きく張り出した部分をながめながら、太郎は、次郎のものに犯される自分を思い出していました。
 すっかり解けてしまった自分の褌で、べとべとになってしまった胸や腹を拭きながら、
「それにしても……。」
と、太郎は考えました。
「さっきのは、夢だったんだろうか……?」
溜まっていたから、あんなに卑わいな次郎の夢を見たのかもしれない、と思ったのです。
「でも……。」
太郎の体に押し込まれていたのは、確かに例のこけしだったのですが、
「やけに次郎の声が、生々しかったなあ。」
ただの夢精にしては、快感が強すぎたような気もします。
「次郎の言っていたことも気になるなあ。」
ただの淫夢なら、次郎があんなことを言うはずがありません。
 太郎は、新しい褌を締めながら、さっきの夢の中での出来事を思い出して、また堅くしてしまいました。
「次郎が言うんだから、行ってみることにしよう。」
次郎の名前を口にしただけで、太郎は例のこけしが恋しくなってしまうのです。
「うっ……。」
いやらしい形に張りつめてしまった褌を、根元から先に向かって指でなぞると、先端の部分に小さな濡れ汚点ができてしまいました。
「次、次郎……。」
さっきの名残で、まだてらてらと光っているこけしを見て、太郎は思わず生つばを飲み込みました。
 それから太郎は、次郎によくされていたように、褌を締めたままうつぶせになると、そのこけしを後褌にそって、ぬるぬると動かし始めました。
「ああ、そんなのじゃ嫌だ、次郎……。」
太郎がせつなくなって、自分から尻を持ち上げるまで、次郎は意地悪く何もしてくれませんでした。
「俺の、……に、突っ込んでくれ。」
次郎は、いつも、太郎にそんなことを言わせるのです。その後で、
「そ、そんなことを……。」
次郎は、太郎の後褌を、ぐい、と片側に寄せて、そのすき間から、こけしを太郎の弱点に突き立てるのでした。
 褌を外してくれないので、太郎にしてみれば、片側だけが押し広げられ、何となくしっくりこないのですが、
「ああっ……。」
前褌の中で窮屈に堅くなったものが、後褌を引き絞られることで、ぐいぐい締め付けられるので、
「きついよ、次郎、勘弁してくれ。」
口とは裏腹に、太郎の褌には粘液の濡れ汚点が広がってしまうのでした。
「も、もっと深く……。」
さっき、体中をべとべとにするほど夢精したのに、太郎は、もう、こけしを、ずぶっ、と根元まで抜き差しして楽しんでいます。そして、それにあわせて腰をゆっくり上下に動かして、褌の中身を床に擦り付けて刺激しているのです。
「ああっ、次、次郎……。」
しばらくしてそう叫ぶと、太郎は、取り替えたばかりの褌を、べとべとに汚してしまったのでした。