下唇をかんでうつむいてしまった奴を見ながら、これから奴をいたぶる手順を考えていると、不意に電話が鳴った。
「もしもし……?」
聞き慣れた声が、受話器の向こうに響いた。
「なんだ、おまえか。」
こいつの送り主の俺の悪友だった。プレゼントの効果を確かめるために、わざわざ電話してくるなんて、のぞき趣味のあいつらしい。
「どうだ、俺のプレゼントはなかなかのものだろう?」
あいつのニヤニヤした表情が目に浮かぶようだ。
「ああ、さっそく、おもちゃにしてる。」
おれの、おもちゃという言葉に反応したのか、俺の目の前に立っている奴の直立した息子が、ヒクン、とけいれんした。
「結構、面白いだろう?」
あいつは、俺をそそのかすような言い方をした。
「ああ、思ったよりもな。」
確かに、今日は、夜中まで退屈せずにすみそうだ。
「もういい加減、慣れてきてもいいはずなのに、いつになっても恥ずかしそうにするところがおまえ好みかな、と思ってさ。」
そういうことか。
「もっと楽しむ方法を教えてやろうか。」
奴の泣き所を俺に教えることで、あいつは二重の意味で楽しむつもりらしい。
「何だ、楽しむ方法、って。」
あいつは、くすくす笑いながら、
「そいつの初体験が。なかなかの傑作なんだ。」
そう言うと、俺の返事を待たずに、
「おまえの変態下着のコレクションを見れば、きっと息子からよだれを垂らして喜ぶぞ。じゃあな。」
さっさと電話を切った。
俺が電話している間も、奴は、新しい刺激への期待から、息子を勃てたまま、そっぽを向いていた。
「おい。」
奴は、ぶっきらぼうに俺の目を見たが、俺が、ちら、と赤黒くいきり勃った奴の息子に視線を走らせると、自分の恥ずかしい姿を思い出したのか、すぐ、目を伏せてしまった。
「おまえの先輩から電話だったぞ。」
こう言っただけで、奴は電話の内容を理解したらしく、下腹部の息子にピクンと力を入れた。
「素っ裸で息子をたてているだけじゃ、そろそろ疲れてきただろう。」
俺が何気なく言うと、奴がちょっと残念そうな表情をしたのを、俺は見逃さなかった。
「心配するな。楽しむのは、これからだからな。」
奴は、今度こそ、耳たぶまで真っ赤にして、うつむいてしまった。
「おまえだって、息子をいじられて、俺のおもちゃにされたくて、うずうずしてるんだろう?」
奴は、かろうじて、
「そ、そんな……。」
と抗議するが、正直な奴の息子からは、また、透明な粘液があふれ出した。
せっかくあいつが、奴をいたぶるためのネタを提供してくれたのだから、それを利用しない手はない。
「おまえは、変態下着が好きなんだってな。」
奴の体がビクッと動いて、思ったよりも反応がある。
「そ、そのことを、先輩が……。」
これは、なかなか面白そうだ。
「じゃあ、これを穿きな。」
俺は、部屋の隅から、平凡な白い薄手のスイミング用のサポーターを投げてやった。奴の締めてきた褌をもう一度締めさせてもいいが、競泳パンツの跡を体に焼き付けているような奴だから、こういうサポーターのほうが、きっと効果があるに違いない。
「俺が、これを……?」
おまえしかいないだろ?
「さっさと穿けよ。」
サポーターは、ぐっと伸びて、奴の尻を包み込んだ。
「何をぐずぐずしてるんだ。」
奴の息子は勃ちきっているから、どうやっても、サポーターのボムから赤黒いカリ首がはみ出してしまう。
「サオを斜めにして、ちゃんとサポーターの中に押し込むんだぞ。」
奴は、仕方なく、俺の言うとおり、カチンカチンの息子を無理にねじ曲げた。
「なかなかよく似合うじゃないか。」
引き延ばされたサポーターの布は、ほとんど透明になってしまって、くっきりと奴の息子の肉色を浮き立たせている。そのうえ、サポーターに締め付けられた奴の息子は、その圧力に反発しようとするから、
「……。」
奴が顔をしかめるのも無理はない。きっと、今なら、ほんのちょっと、その卑わいに盛り上がったサポーターを撫でてやるだけで、奴はもう我慢できなくなって、サポーターの中にどろどろと噴き上げてしまうだろう。先端のくびれた部分からは、ぬめぬめと粘液があふれ出して、奴の肉棒は、濡れたサポーターの布を通して丸見えだった。
しかし、もちろん、俺はまだまだ奴をいかせてやるつもりなんかないし、張りつめたサポーターの前をいじりたくてうずうずしている奴の手も、
「俺が、よし、といわないのに、自分で息子をいじったりするんじゃないぞ。」
俺の返事に、動かすことができないでいた。
「返事はどうした?」
プレゼントのおまえには、自分の快感さえ自由にできない、っていうことを思い出すんだな。
「わ、わかりました。」
おまえは、俺へのプレゼントなんだから、おまえの快感は俺のためにあるんだ。
「何がわかったんだ?」
奴は、卑わいな言葉に、ぞくぞくするぐらい敏感に反応する。
「あなたに許していただくまでは、……息子をいじったりしません。」
よし、よく言えたぞ。奴は、息子を締め付けるサポーターの感触がたまらないらしく、腰をわいせつにゆすって、より強い刺激を得ようとしている。しかし、
「そんなにサポーターが好きか。」
奴が、俺の言葉にうつむいたのは、その恥ずかしいまでの盛り上がりのせいだけではなさそうだ。
きっと、奴は、いつもサポーターか何かで楽しい思いをしているのだろう。あいつが電話で言っていたことは、案外、ここらあたりのことに違いない。
「いつも、どんな下着を穿いてるんだ?」
まさか、毎日、褌を締めてるわけじゃないだろう。
「下、下着って……。」
ブリーフか、トランクスか、って尋ねてるんだ。
「それとも、そんなサポーターを毎日穿いてるのか?」
どうも、そうらしい。
「毎日、っていうわけじゃないですけど……。」
なるほど。元気のよすぎるデカチンが勃ってもあまり目立たないように、サポーターで押さえつけてるわけか。
「先輩の命令ですから……。」
あいつの考えそうなことだ。
「どうせ、しょっちゅう、息子を勃てて、他人に見せびらかしてるから、サポーターを穿かされてるんだろう。」
図星らしい。
「俺、俺……。」
もっと他に何かあるのか?
「いやらしい奴だな。サポーターがベトベトじゃないか。」
粘液のにじんだサポーターから透けて見える、奴の肉色の息子は、余計、わいせつな感じがする。
奴がベトベトにしたサポーターを見つめているうちに、俺は、ちょっと面白いことを思いついた。
「おい、俺のサポーターをそんなに汚して、そのままで済ますつもりじゃないだろうな。」
奴のつけた濡れ汚点を保存しておくのもいいが、奴だって、それだけじゃあつまらないだろう。
「で、でも、これは……。」
弁解しようと赤くなるところがかわいいが、
「ぐずぐず言ってないで、さっさとサポーターを脱ぐんだ。」
自分で汚したものは、自分で始末するのが礼儀だろ?
「……。」
奴は、素直にサポーターを脱ぐ振りをしたが、本当は、勃ちきった息子をサポーターのざらざらした荒い布地に擦り付けて、こっそり快感を得ようとしていたのだ。
「俺の許可を得ずに射精するようなことは、まさかないよな。」
俺ににらまれて、奴は、しぶしぶ、でか息子に引っかからないように、苦労してサポーターを脱いだ。奴の息子は、せっかくの刺激が中途半端になってしまたので、赤黒く充血してひくひく脈打ち、先端の割れ目から透明な粘液をあふれさせた。
「出したくてたまらないんだろう。」
時分でやっているときなら、思い切りしごき勃てて青臭い精液をまき散らすところだろうが、今のおまえは、俺の慰み物なんだからな。俺は、自分の股間のものが、穿いているトランクスを持ち上げて、その先端からじっとりと粘液が滲むのを感じた。
俺は、奴からサポーターを取り上げると、奴の息子を押さえ込んでいたあたりを目の前に広げてみた。
「こんなにびしょびしょじゃないか。」
俺のあきれたような声に、奴は、恥ずかしげに顔をそむけながらも、股間から直立させた息子を、ひくっ、とけいれんさせた。こういうふうにいたぶることができるから、粘液の分泌が激しい奴は楽しい。まさか、あいつがそこまで考えていたわけではないだろうが、こんなにサポーターを濡らす奴は久しぶりだ。
「ちゃんと、きれいにしろ。」
俺が、もう一度、奴にサポーターを投げてやると、奴はきょとんとしている。
「馬鹿野郎。おまえが汚したところを、きれいになめるんだ。」
これぐらいで済ませてやるんだから、ありがたく思って、もっと嬉しそうな顔をしろよ。本当は、サポーターに噴き上げさせて、べっとりと付いたおまえ自身の精液をすっかりなめさせてもいいんだぞ。
「どうだ、うまいか。」
そのうちに、俺の股間でいきり勃っている本物をなめさせてやるからな。
「……。」
奴は、こわごわ、自分の穿いていたサポーターの濡れ汚点になって部分に顔を近づけていったが、
「もっと、よくなめろ。」
俺の厳しい声に、あきらめたように目をつむって、唾液がてらてら光る舌で、ぺろっ、とそこをなめた。
俺の贈り物 2
火曜日, 7月 31, 1984