小林君は、すっかり退屈していました。せっかく、久しぶりで、明痴先生の探偵事務所に遊びに来たというのに、
「ちょうどよかった、小林君。これから浮気の素行調査に行くところなんだ。留守番を頼むよ。」
明痴先生は、さっさと出かけていってしまったのです。
「ちえっ。つまんないなあ。」
最初のうちは、明痴先生の机の上の、難しそうな本を引っ張り出しては、わかったようなふりをして読んでいましたが、六法なんとかというその分厚い本を開いたとき、小林君は、もう少しでその本を取り落としてしまうところでした。
「わあ、すげえ……。」
その本に、しおりのようにはさまれてた物は、実は、写真だったのです。それも、あお向けに寝た裸の逞しい男が、顔をしかめていきり立ったものから噴き上げたところを写したやつです。
「へえ、明痴先生って、あんな真面目な顔をしてて、こんな写真、持ってたのか……。」どうやら、そんなエロ写真はこれ一枚ではないようで、その分厚い本のあちこちにはさんであります。
小林君は、その本を持って、ソファーのところへ行きました。そして、写真を一枚一枚取り出して、ゆっくり見始めました。
「堅くなっちゃった……。」
元気な小林君の少年は、もうピンピンになっています。
「こんなに、たくさん飛んでる……。」
右手で写真をつまんでみながら、小林君の左手は、もう、ズボンのチャックを降ろしていたのです。いたずら大好き少年の小林君が、こんな写真を見て、何もしないでいられるわけがありません。ブリーフをズボンといっしょに降ろして下半身裸になると、若々しく突き上げているものを、握り締めた手で上下にしごき始めました。事務所の窓からは、お日様が差し込んでいるというのに、小林君は、カーテンも引かずにいたずらを続けています。それどころか、にじんできた粘液のせいでぐちゅぐちゅとヒワイな音を立てている手の動きは、ますます激しくなっていきます。
いくら事務所が六階建てのビルのてっぺんにあると言ったって、道路を隔てた向かいのマンションからは、ズボンをひざのところまでずらした小林君のやっていることなんか、丸見えなのです。
「あ、こんなことやってる……。」
自分のやっていることは棚に上げて、小林君は一枚の写真を食い入るように見つめています。もちろん、その間も、ピンピンの少年への刺激は忘れませんでしたが……。小林君が、ごくっ、と生つばを飲み込んだその写真は、両足を大きく広げた男が、天狗の面の鼻で、お尻の穴を突き刺されている、というちょっと古風なものです。
「そんなに気持ちいいのかなあ。」
男の表情は苦しんでいるようにも見えましたが、ピン勃ちのシンボルからは、快感の涙が糸を引いていました。
「こんなものをお尻の穴に入れたら、どんな感じがするんだろう……。」
いたずら大好き少年の小林君は、ついでに好奇心少年でしたから、自分もお尻の穴をいたずらしてみたくて仕方ありません。
部屋の中をきょろきょろ見回していた小林君の見つけたものは、明痴先生がヒマな時に飲んだらしいウィスキーの空きビンです。ビンの首の部分は、写真の中の天狗の鼻と同じぐらいの太さで、ちょうど良さそうでした。小林君は、元気よくいきり勃たせたまま、そのビンを取ってくると、明痴先生の机の上にあった、なんとかクリームというのをネトネトと塗り、さっそく実行に移したのです。やっと筋肉の逞しくなり始めた両足を大きく開き、へそに向かって伸び上がっているものの下の方に、その空きビンの首を近づけていきました。
「あっ……。」
さすがの小林君も、一回目はその冷たい感触に、思わず体を固くしてしまいました。それで、ビンを持ち替えて方向を修正すると、体の中心めがけて、ぐっと突き進めたのです。
「ああ……。」
最初のうち、小林君は、自分の体が空きビンを受け入れることをためらっているのを感じました。ぐっぐっ、と少しずつ力を加えていくと、ビンの首の部分は、お尻の穴の中にめり込んでいきます。
あんなに抵抗したのに、最初の部分が、ずるっ、と入ってしまうと、あとはあんまり力を入れなくても、ぐりぐりと押し込まれてしまって、小林君は、まるで誰かに無理矢理、犯されているような気分になってしまい、
「ああ、駄目だよ……。」
いけないことを、しているとは思うのですが、体に埋め込まれたビンの首は、小林君が今までに経験したことのない感覚を味合わせてくれるのです。
「う……ん。」
お尻の穴を犯しているビンをぐりぐり動かしながら、どうしようもなく悶えてしまいました。すると、その時です。
「カシャッ。」
金属的な音がして、
「そんなに気持ちがいいかね。」
バリトンの声で、小林君は、現実に引き戻されてしまいました。
小林君は、びっくりして、飛び上がりそうになりました。無理もありません。下半身をむき出しにしているだけでさえ恥ずかしいのに、小林君の分身は大きく膨れあがり、その上、お尻にはウイスキーの空きビンの首を突っ込んでいるのです。
「あ、あなたは……?」
小林君の前には、いつの間に、部屋に入ってきたのか、覆面をした黒ずくめの男が立っていて、さっきの音は小林君の恥ずかしい姿をカメラに写したときのシャッターの音だったのです。その男は、小林君の勃ちん坊を、アップでもう二、三枚写すと
「やあ、これは自己紹介が遅くなってしまったな。我が輩は、快人69面相。怪しい快人じゃなくて、気持ちいい快人だ。君みたいな、いたずら大好き少年の写真をコレクションしているんだ。」
「69面相?!」
「そう、これでも、全国いたずら大好き少年連盟の推薦だぞ。」
そう言って、69面相はちょっと照れ笑いをしました。
「君のように、一人で寂しくオナっている少年のために、日夜、活躍しているんだ。」
小林君は、あっけにとられています。それにしても、いたずら大好き少年連盟なんて、本当にあるんでしょうか。
小林君は、自分のあられもない姿に気がついて、まず、お尻の穴に食い込んだままになっているビンの首を抜こうとしました。
「おっと、我が輩に遠慮することはない。そのまま続けてくれたまえ。」
続けろ、と言われても恥ずかしくて、小林君はどうしていいのかわかりません。
「なんなら、我が輩が手伝ってあげよう。」
69面相は、さっきから元気になったままの小林君に近づくと、例のビンをぐっと握りました。
「あっ……。」
その瞬間、予想していなかったひねりをお尻に感じて、小林君、は恥ずかしいことに声をあげて師ましました。
「これはどうかな。」
ソファーの上でのけぞった上半身を支えている小林君の両手に変わって、69面相は、一方の手で小林君のお尻を犯しているビンを握り、もう一方の手には、小林君のむき出しの少年を握りました。
「や、やめて……。」
予想もしない事態に、小林君は、思わず叫びましたが、本当は69面相に握られたところが、すでにぬるぬるになってしまっているのを知られるのが恥ずかしかったのです。このままでは、69面相の目の前で、いきり勃ったものから発射してしまうのも、時間の問題です。小林君が、
「出るうっ。」
叫ぼうとした時、
「トン、トン。」
と、ドアをノックする音がしました。
快人69面相 1
火曜日, 8月 31, 1982