俺は、ねっとりした快感の網に絡め取られるようにして、眠りの海から土曜日の朝の自分の部屋へ目覚めた。
「あ、な、何を……。」
俺のものは、昨日の深夜の痴態を忘れたかのように元気に勃ち上がって、しかも、それは、俺の下腹部に頭を乗せるようにしている人の口の中にあった。俺は、その快感に、思わずその頭を押さえて、もっと深いところまで自分のものを届かせようと腰を浮かせてしまう。そんな俺の動作を、軽く舌で受け流すと、その人は頭を上げて、
「目が覚めたのか?」
ちょっと冷やかすような笑顔で俺を見た。
「朝っぱらから……。」
俺が、ちょっと不満そうな顔をすると、その人は、
「朝っぱらから元気なのはおまえのほうだろ?」
まるで、俺が悪いかのような言い方をした。
「そんなことされたら、誰だって元気になっちゃうよ。」
俺がそう言うと、
「何言ってるんだよ、勝手に朝勃ちしてたのはおまえのほうだぞ。びんびんになって、エッチなことを催促してたから、俺がご奉仕してたんじゃないか。」
いつの間にか、俺のほうが誘ったことになってしまっている。そして、俺の頭を腕枕の中に巻き込みながら、
「昨日は、本気で怖がってたじゃないか。」
そう言って、俺に軽くkissをした。
「そりゃ、そうだとわかってても、つけられてると思うと、どきどきしてしまって……。」
俺がそう言うと、ちょっと苦笑して、
「そのわりには、激しかったじゃないか。」
今度は、ねっとりと俺の唇を奪った。
「だって……。」
興奮してたのは確かだから、俺は反論しようがない。
「最初は、電車の中で痴漢されるのも嫌がってたくせに、この頃は、自分から相手に押しつけていってるだろ?」
そして、ニヤニヤしながらそんなことを言う。
「そ、そんなことないよ。」
俺は、そう反論したが、
「トイレで3Pまでやるようなすけべなやつだとは思わなかったな。」
それを持ち出されると、それ以上俺は反論できない。
「きっと、派手にぶっ放したくせに、夜は電車の中と、部屋に帰ってきてからで、2回もいかないと我慢できないなんて、本当に淫乱だな。」
そ、それはそうだけど。
「でも、もともと、『おまえが電車の中で知らないやつに痴漢されてるのを見ると興奮するから』って、俺はいやだったのに……。」
俺がそう言っても、
「最初はいやだったとしても、今は痴漢されることに興奮してるだろ?」
あっさりと言いくるめられてしまう。確かに、見知らぬおやじにおもちゃにされたり、ぎんぎんのリーマンとしごきあったりすることを考えただけで、大人しくなりかけていた俺のものはまた堅くなってしまう。
「思い出して、興奮してるんだろう?」
そんな俺の身体の変化を見逃すはずもなく、堅くなったものを、ぐっ、と握り締めると、またとろけるようなkissに圧倒された。
「もう痴漢されるのがいやなら、来週からよすか?」
そう言われて、すぐにうなずくことができない俺が情けない。
「おまえだって、本当は楽しんでるだろ?」
俺のものは、あふれ出した粘液でぬるぬるになってしまっているに違いない。
「でも、昨日の3Pは許せないな。今日は、一日かけて、お仕置きをしてやるからな。」
え?そんな。
「俺以外のやつにもてあそばれて気持ちよくなるなんて、そんな淫乱な根性をたたき直してやる。」
かなりひどい論理なのに、卑わいな光を帯びたその目つきで見つめられると、俺の中で何かが、じわっ、と分泌され始めるのがわかる。
「今度、トイレにしけ込む時は、ちゃんと俺も誘うんだぞ。」
そして、俺は、例の高校生と一緒に、このごつい手にもてあそばれてしまうんだろうか。でも、やっぱり、こうやってベッドの中でもてあそばれるほうがいい。
「あ、そんなところを……。」
唇と舌と、巧みに動き回る指先に、俺の身体は翻弄され続けている。
「いっそのこと、一緒に暮らすか?そうすれば、朝の電車で、必ず同じ場所に乗れてもっと楽しいもんな。」
そんなことを聞かされながら、でも、俺は、すでに『お仕置き』の快感の中に引きずり込まれていた。
通勤電車 土曜日の朝
金曜日, 5月 30, 2003