「先輩、今日は、どうなんっすか?」
奴は、出かけるときに、わざわざそう言って、俺の夜の予定を尋ねようとする。
「そうだな、ちょっと寄ってこなきゃいけないところがあるから遅くなると思う。」
俺の言葉に、奴の目が淫乱な光を宿す。
「そうっすか。」
俺は、黙ってうなずきながら、
『今日は、おまえの気にしてた柔道野郎に会ったヤリ部屋で物色してみることにするぜ。』
そんなことを考えていた。すると、奴は、期待感に股間を熱くしている様子がありありで、
「先輩、俺に足りないところがあったらそう言って欲しいっす。俺、他の奴には負けないようにがんばるっす。だから、どんな野郎とでも遊んできてくれていいっすよ。」
そんなことを言う。それは、つまり、俺に、おまえ以外の野郎の身体で遊んでこい、って言ってるわけだな。そして、食い散らかした野郎の痴態を報告しろ、っていうことなんだろ。なんてスケベな奴なんだ、と思いながらも、俺は、奴にとっての俺の存在意義が、そこ、にこそあることを、今さらながらのように感じていた。そうすることで、奴は、俺を通して、俺以外の野郎達とまぐわっているんだ、と。つまり、俺は、いろんなところで奴の食指を動かしそうな野郎を男を食い散らかしては、その雄臭い匂いを身体に付けて奴のところに運んで帰ってくるように、そういうふうに調教されているんだ、と。
breeder プロローグ
木曜日, 12月 25, 2003