昔々、あるところに、太郎と次郎という仲のよい兄弟がおりました。力持ちの弟は山へ木を切りに、兄は谷沿いの畑を耕したり、家の中の雑用をかたづけたりして、二人で暮らしておりました。早くに両親を亡くしてしまった兄弟は、小さい頃から助け合ってきたので、逞しい青年に成長しても、二人でいれば、別段、寂しいとも思いませんでした。
 そんなある日のこと。いつものように、次郎は太郎のこしらえた握り飯を腰にぶら下げて、朝早くから山へ出かけてしまいました。それを見送ってから、いつものように太郎は、次郎のものもいっしょに洗濯しようと、次郎の部屋に入っていきました。
「まったく、仕方のない奴だな、脱ぎ散らかしたままで。」
次郎の部屋には、まだ肌のぬくもりが残っていそうな夜着と、がっしりした腰に締め込まれていた褌が放り出してありました。
「それにしても……。」
太郎は、風呂上がりに見る、次郎の胸の筋肉の盛り上がりを思い出しながら、
「次郎も、男くさくなってきたなあ。」
と、つぶやきました。確かに、部屋の中にも、次郎の男くさい匂いが染みついているようです。
「でも……。」
大きく息を吸い込んだ太郎は、ちょっと首をかしげました。
「なんだか、いつもと違うような……。」
どうやら、原因は、足元にある次郎の褌のようです。
「ひょっとしたら。」
太郎は、次郎の褌を取り上げて、まだ股間の盛り上がりを残しているその部分を見ました。すると、
「やっぱり……。」
そこはまだじっとりと湿っていて、うす黄色い汚点が広がっています。その強烈な匂いに刺激されて、太郎の褌の中身が、むくむくと勃起し始めました。
 いけないことだとは思いましたが、好奇心に勝てずに、太郎は、汚点の部分に顔を近づけて、チロッ、と舌の先でなめてみたのです。ざらっ、とした木綿の布の舌触りと、何とも言えない味が、太郎の口の中に残りました。
「次郎の味だ。」
太郎の褌の中は、もうカチンカチンに堅くなっています。
「次郎の奴、どんな夢を見て、洩らしたんだろう。」
太郎は、布団をはねのけた次郎の寝顔が快感にゆがみ、大きく盛り上がった褌の中身には、じわっと汚点が広がっていくところを想像していました。
「もう駄目だ。」
自分の淫らな想像に我慢できなくなって、太郎は、帯に手をかけました。
「こんなに濡れてる。」
粗末な着物を脱いで裸になった太郎の股間の褌には、堅い肉脈ができて、その先端に粘液の濡れ汚点ができています。
「次郎……。」
太郎は褌の上から、熱い肉柱をゆっくりこすりました。
「次郎も、こうやって、褌の中に……。」
今度は、次郎が白い褌の上から勃起した肉柱を激しくしごいている様子を想像しました。
「ああ、いっちゃいそう。」
次郎の淫らな姿を想像すると、腰のあたりにしびれるような快感が広がってしまうのです。
「次、次郎……。」
太郎は、次郎の悶える姿を想像しながら、ぐっぐっと褌の中に噴き出してしまいました。
「うう……。」
何度も熱い塊が、太郎の下腹部にあふれ出して、そのたびに、太郎は、顔をゆがめて快感に耐えたのです。