そして、その日から、若者は、太郎を捜して村中を歩き回り始めました。少しでも太郎に似た野郎を見つけると、有無を言わさず、例のこけしを試させるのです。
「わ、私は憶えがありません。」
と、たいていの野郎は、そのこけしの迫力にたじたじとなるのですが、
「そんなことはないだろう。」
太郎が恥ずかしがっていたのを憶えている若者は、相手が拒んでも許そうとしません。
「素直に言うとおりにしないと、力ずくでもやるぞ。」
田んぼのあぜ道へ、相手を押し倒して、下半身をむき出しにすると、申し訳程度に油薬を塗りつけて、ぐりぐりっ、と手に持ったこけしを押し込むのです。
「うあーっ。」
例え経験のあるものでも最初は息が詰まりそうになるほどの大きさのこけしだというのに、ましてや、ほとんどの野郎は、そんなところに何かを突っ込んで楽しむなどということはやったことさえないのです。大声を上げて、なんとかそのこけしから逃れようともがく野郎を見て、若者は、
「こいつも違うなあ。」
と残念そうに言うと、こけしを引き抜きました。
「おうっ。」
ところが、例のこけしは、抜く時にも張り出した部分がひっかかって、違う感触を与えるようになっていましたから、こけしを引き抜かれた野郎は、あまりの感覚についに失神してしまうのが常でした。
「初めての奴には、ちょっと刺激が強過ぎたか。」
若者は、そんなことを言いながら、次の野郎を捜して歩くのでした。
こんなふうに、若者は村中のめぼしい野郎に次々とこけしを試したみたのですが、どうしても太郎は見つかりません。
「ひょっとして、この村の奴ではなかったのかなあ……。」
自分の寝室で淫乱に悶えていた太郎の姿を思い出すたびに、若者は、下腹部が堅くなってしまって、それをなぶらずにはいられません。
「あと残っているのは、山の方ぐらいだからなあ……。」
自分の胸の上に、点々と飛び散った精を拭き取りながら、それでも若者は、
「今日は、散歩のつもりで山の方へ行ってみるか。」
と気を取り直していました。
そんなこととは全然知らない太郎は、今日も谷沿いの畑を耕しに出かけていました。
「かわいかったなあ……。」
太郎も、若者のことを思い出すと、家事をしている時でも、畑を耕している時でも、所かまわず褌の中身が堅くなってしまうのです。
「ああ、こんな時に……。」
空にはお日様がにこにこ笑っているというのに、太郎の下腹部は、真上に向いてぴんぴんに勃ち上がってしまいました。もう、こうなると、それを扱くことしか太郎の頭にはありません。
「駄、駄目だよ……。」
次郎には悪いと思うのですが、あの屋敷での一件以来、夜自分で慰める時も、次郎よりも若者のことを思い浮かべることが多くなっている太郎でした。
すると、その時です。背後に何かの気配を感じた太郎は、大きく盛り上がった褌の前を撫でていた手を離すと、振り返ろうとしました。
「とうとう見つけたぞ!」
そうです。そこには、若者が、例のこけしを手に立っていたのです。
「あ、あなたは……。」
太郎は、思わず、生つばを飲み込みました。
「真っ昼間から、しかも畑仕事の最中に、何をしているんだ。」
若者は太郎に近寄ると、斜めに大きく盛り上がって、先端の所に濡れ汚点さえできているいる太郎の褌を、ぐっ、と握り締めました。
「あ、うっ……。」
太郎は、久しぶりの強い刺激に腰が抜けてしまって、若者に寄りかかりました。
若者は、こけしを太郎に突きつけるようにすると、
「こいつに憶えがあるだろう!」
と、太郎を問い詰めました。
「そ、それよりも……。」
すっかり発情してしまっている太郎は、こけしよりも、目の前にいる若者のほうが欲しくてたまりません。
「それよりも?」
太郎は、畑の真ん中で、若者に着物を脱がされて、素っ裸にされてしまいました。
「本物が欲しい……。」
太郎は、こけしではなくて、自分がこの若者なしでは満足できなくなってしまったことがわかりました。
「これか?」
若者が褌の脇から付きだした肉棒に、太郎はひざまずいて、大きく口を開けて、それをくわえ込みながら目を閉じるのでした。
その後、太郎は、若者の教育係として、楽しく暮らしたそうです。ただ、実際に教育されていたのが若者なのか太郎なのかは定かではありません。また、これから後、理由はよくわからないけれど、村の若い野郎にがに股が多くなったと言うことです。
めでたし、めでたし。