五日ぐらい何とかなるだろうと庄助は簡単に考えていたのですが、いざその夜寝ようとしたとき、それがたやすくないことを悟りました。お地蔵さまとのことや太郎とのことがあった以前なら、一人で寝ていることも寂しくはありませんでしたし、自分で褌の中身をいじってみることも滅多になく、どちらかといえば夢うつつでの快感のほうを心待ちにしていたのです。けれども今の庄助には一人で布団の中にいることが寂しくて耐えられないことのように思えるのです。そして、いくら褌で堅く締めつけても元気に伸び上がってくるものについつい手を伸ばしてしまいます。布を通してでもそれがどれほど熱くなっているかわかるくらいで、すっと撫でてみると、腰がむずがゆくなるような感じがします。先っぽの方がちょっとぬめっとしているのは塩辛い蜜が褌に染み透ってきたせいなのでしょう。
「太、太郎……。」
思わず太郎を呼びそうになって、庄助は必死でこらえました。太郎にちょっとでも体をなめられたら、庄助は自分をこれ以上引き止めておくことができないだろうと思ったからです。
これにこりて、褌を堅く締めすぎているからそれが刺激になっているのだろうと思った庄助は、次の日は褌をつけずに寝間着だけで布団に入りましたが、その夜も庄助の思い通りにすんなり寝付くというわけにはいきませんでした。というのも、きのうと違って押さえるものがないので頼りない感じがしてついついそこへ手が行ってしまうのです。
「う、う……ん。」
若い庄助のことでしたから、たとえ自分の手であっても少しの刺激にすぐ反応します。いまさら珍しいわけでもないのに、大きくなればなったで握ってみたりちょっとひねってみたりしたくなるのは人情というものかもしれません。そのうちにもっと手が滑らかに動くようになれば、握ったまま上下に動かしてみたりもするのですから、庄助の興奮は一層高まってしまいます。
日がたつにつれ精が溜まってきて、庄助の努力も並大抵ではありませんでした。明日は満月という夜は、自分のものを握り締めたまま、結局庄助はまんじりともしなかったのです。
「やっと夜が明けたみたいだ……。」
外でにわとりが騒ぎ始めたので、庄助ははれぼったい目をこすりながら雨戸を開けて大急ぎで着物を着てしまいました。
「いよいよ今晩だなあ、太郎。がんばるからな。」
ちょっとしたはずみでむくむくと起き上がってくる褌の中身を気にしながら、庄助はいつもの倍も骨身を惜しまず働きました。そうしていないと自分が禁を破ってしまいそうで恐かったからなのです。
いよいよ待ちに待った満月の夜がやってきました。お地蔵さまに言われたとおりに小川で体を洗って庄助は何も体にまとわずに太郎を連れてお地蔵さまの前に行きました。
「お地蔵さま、お願いします。」
お地蔵さまは真面目な中にも少し好色そうなニヤニヤ笑いをされて、
「月が沈んでしまわないうちにやらないと駄目だから、せいぜいがんばれよ。」
とおっしゃいました。お地蔵さまも庄助のを見るのは楽しかったのでしょう。
「おいで、太郎。」
庄助は太郎を自分の前に呼んで抱きかかえるようにしました。その時にはもう庄助は隆々として腹を打たんばかりになっていました。そんなふうでしたから、一回目は庄助がいくらも自分を刺激しないうちに激しく太郎の体の上にまき散らされました。
二回目、三回目と太郎の体にまき散らしていくうちに、庄助が発射できる量は少なくなっていきましたが、五日もの間必死にこらえたかいがあったのか、太郎の体は順調に異様な匂いのねっとりとした液体で塗り込められていきます。
「あ、あ……。」
庄助は激しく手を動かしてやっと絞り出しましたが、もうそれが何度目なのか思い出せないぐらいです。いくら溜まっていたといっても、酷使されたその部分は赤くなり、赤黒くはれ上がったような先端から、それでもわずかにピッと太郎の体に白いゼリー状のものが飛びました。
「これでよし、と……。」
庄助が太郎の体をその液体で塗り込めてしまいますと、突然あたりには白い煙が立ちこめ、それが晴れた時にはそこに犬の太郎のかわりに人間の太郎が立っていました。
「太郎……。」
「庄助……。」
二人が抱き合うのをお地蔵さまはニコニコと笑いながら見ておられました。
こうして太郎は人間になり庄助と暮らすことになったのです。太郎は元々が犬だったためか、庄助に比べるとはるかに毛深く、それが庄助の気に入っているところでした。あとから庄助は肝心の部分に塗るのを忘れていたことに気づきました。というのは、そこだけは異様に先端が大きくて、抜き差しされるたびに庄助のうめき声を誘うことになったからです。けれども、それもどうやら庄助は気に入っていたようです。そして、これ以来、庄助の家からは、毎晩二人の悶える声が聞こえるようになったということです。めでたし、めでたし。