天狗にしごかれて精を噴き上げた太郎は、そのあまりの快感にしばらくは腰が立たなくて、起きあがることすらできませんでした。
「どうした、気持ちよすぎたか?」
一番最初の天狗が、そんな太郎の様子を見ながら愉快そうに言いました。そして、
「そんなことで、腰を抜かしていては、次に会うときが思いやられるな。もっと鍛えておいてもらわなくては。」
そんな意味深なことを言うのです。
『さっきも似たようなことを言われた気が……。』
背筋に響くようなその言葉の意味を太郎が想像しかねていると、二番目の天狗が、
「いやいや、それよりも、二巡目を早く始めようぞ。」
下腹部から隆々と屹立した赤黒い肉塔を握り締めてそう言いました。
「儂も、儂のせがれも、お待ちかねだぞ。」
また、さっきのように、自分の口ですべての天狗に奉仕しなければならないと思うと、途方に暮れるような気持ちになるのですが、太郎の下腹部のものは、あんなに夥しい量の精を噴き上げたことを忘れたように、ぐっぐっ、と頭をもたげ始めています。けれども、天狗の逞しい怒張を目の前に突きつけられると、
「ああ、くわえたい……。」
太郎は、そう思ってしまうのでした。そして、さっきと同じように、赤黒い怒張を振り立てた天狗達が円陣を組み、太郎は、老人の鈴の音に合わせて、一本ずつ、丁寧にくわえ込んでいったのです。
「おお、おうっ……。」
太郎が移動するにつれ、天狗達の逞しい尻がけいれんし、卑わいな声が上がります。
「も、もう、駄目だ……。」
そして、次々に、太郎の口に白濁した精を放ちました。
だんだんと太郎を取り囲む天狗の円陣も小さくなり、円陣から外れた天狗達は、また酒を酌み交わしてしました。さすがに、二度も精を放った天狗は落ち着いたようで、
「こんなにぷりぷりしたよい尻なのに、まだ熟れてないとはもったいないのう。」
天狗の怒張をくわえて一生懸命に頭を振っている太郎の尻を見ながら、そんなことを言っています。それを耳にした例の最初の天狗が、
「儂がこいつに布団を貸してやることにするから、次の機会には、口だけでなく、その尻の穴もほどよく熟れておるに違いない。」
そう言って、好色そうな笑いを浮かべました。すると、それを聞いた天狗達は、みんな、にやにやしながら、
「それはなかなかよい考えだ。確かに、こいつに布団はふさわしい。すぐに、こいつも随喜の涙を流すことになるぞ。」
そう言って、相変わらず天狗の怒張を含んでうっとりしている太郎を見ています。
「そうしたら、二倍楽しめることになるな。」
自分のことがそんなふうに取りざたされているとも知らず、太郎は自分の口の中のものがそろそろ噴き上げそうなのを感じていました。そして、その怒張を口全体で吸い上げながら、巧みに、れろれろ、と舌を動かすと、くわえ込まれている天狗は、上半身をのけぞらせて、
「おおう、も、もう……。」
声にならないまま、太郎の口に余るほどの精を噴き上げたのでした。
やがて宴も果て、着物を直した太郎を最初の天狗が呼び寄せると、
「これをやろう。」
そう言って、天狗は懐から手のひらに載るくらいの大きさの巾着のようなものを取り出しました。
「これは?」
太郎は、それを受け取りながら、いぶかしげにそう尋ねました。
「布団袋だ。」
天狗は真面目な顔でそう言いましたが、
「え、これが?」
どう考えてもこれではネズミの布団ぐらいしか入っていそうにありません。太郎のその様子を見て、天狗は愉快そうに、
「まあ、家に帰ってこの布団を敷いてみるがいい。」
太郎にそう言いました。
「はあ……。」
もうすこしなにかいいものがもらえるかと期待していた太郎は、少しがっかりしましたが、そんな顔をするのは天狗に悪いと思って我慢していました。
「そうだ、布団を敷くときに必ず『布団よ、夜伽の支度』と唱えるんだぞ。いいな。」
そして、天狗からもらったその布団袋を、無造作に懐に突っ込んで、その大広間から下がっていったのです。
「大儀じゃったな、おかげで儂の面目も立った。」
老人は、太郎を玄関まで案内しながら嬉しそうでした。
「いえいえ。」
でも、太郎も、さっき天狗にしたりされたりしたことを思い出すと、実は、褌の中身がむくむく勃ち上がって、窮屈になってしまうのでした。老人に送られて、太郎がその屋敷の門を出ると、どうっ、と風が吹きつけてきたので、太郎は思わず目をつむって立ち止まりました。そして、ふと振り返ると、そこには、さっきの屋敷の跡形もなく、ただ、一面の笹原が広がっているだけでした。
「俺は、夢でも見ていたんだろうか……。」
太郎が懐に手を入れると、そこには確かにさっき天狗にもらった小さい布団袋がありました。
「とにかく、早く家に帰ろう。」
太郎は、急いで家に帰ってきました。
家に帰ってきた太郎が、あり合わせのもので粗末な夕食をすませると、外はとっぷりと暮れています。
「そろそろ寝るかな。」
その時、太郎は、懐に入れていた天狗の布団袋のことを思い出しました。
「これでどうやって寝られるものやら……。」
そうは思いましたが、とにかくその布団袋をひもといて中から小さい粗末な布団を取り出しました。そして、天狗に言われていたとおり
「布団よ、夜伽の支度。」
と唱えると、これはどうしたことでしょう。あれよあれよという間に布団は広がって、元の粗末な布団からは想像できないくらい、ふかふかの暖かそうな敷き布団と掛け布団が座敷に広がっています。そして、もっと驚いたことに、布団の中には、伸びやかな若者がどうやら裸で横たわっていて、上半身を起こすようにしながら掛け布団を持ち上げて、
「ご主人様、どうぞ……。」
と言ったのです。
「お、俺のことか?」
太郎が思わず尋ねると、若者はにっこりと微笑んで、
「ご主人様にお仕えできるのを楽しみにしていました。」
と言いました。太郎が呆然としていると、その若者は、布団から抜け出して、太郎の前にやってきました。
「さあ、どうぞ、ご主人様。夜伽をさせていただきます。」
そして、太郎の着物の紐を、するり、と解くと、いつのまにか、太郎を褌だけの裸にしてしまいました。
「さあ、布団の上で、ごゆっくりなさってください。」
そして、太郎を引き倒すようにして、いつのまにやら、二人は布団の上でなまめかしい裸の肉体で触れ合っていました。
「今日は、ずいぶん働かれて疲れたでしょう。」
確かに、今日は、天狗の怒張をたくさんくわえて、太郎は全身に疲労感を覚えていました。それなのに、この若者の肉体と触れ合っただけで、自分の褌が突き上げる怒張で大きく盛り上がってしまっているのです。
「今度は、私に働かせてください。」
そう言って若者は、太郎の褌の盛り上がりをゆっくりと握り締めたのです。