その夜、俺は、三助に言われたとおりに、その部屋に忍んでいった。部屋の中は真っ暗だったが、一方の壁から光が漏れていて、そこから隣の部屋の様子をのぞくことができた。どうやらそこは、三助の言ったとおり、彼の部屋のようだったが、その部屋の光景を見た俺は、思わず息をのんでしまった。
「どうした、今日は、ずいぶん派手に鳴いていたじゃないか。」
そこには、宿の主人が座っていて、
「お許しください、旦那様。」
その目の前の机の上には、他ならぬ三助が、裸に引き剥かれて、あぐらをかいた形で縛り上げられ、ごろんところがされていた。そのため、例のこけしで栓をした尻の穴も、そんな仕打ちをされながらもびんびんになってしまってる男根も、三助のすべてが、煌々とともされた電灯に照らし出されていた。
「あの、若い男に掘られて、けつを振って喜んでいたんだろう。」
主人はそう言って三助を責めた。
「そ、そんなことは……。」
三助が口ごもると、
「正直に言わないと、こうだぞ。」
主人は、三助の尻を、平手で、ばしん、と叩いた。
「あっ、っつ。」
三助は、悲鳴ともつかぬ声を上げながらのけぞった。
「どうだ、本当は気持ちよかったんだろう。」
主人が、もう一発、三助の尻を叩いた後で尋ねると、
「そ、そんなことありません。わたくしは、旦那様にこうやってお仕置きをしていただくのが一番うれしゅうございます。」
そして、その言葉どおり、三助のいきり勃った男根からは、すでに、幾筋も透明な粘液があふれ出していた。
「そうかな？……きっと、あの男に掘られながら、びんびんの男根を扱かれて、声を上げていたんだろう？」
今度は、主人は、三助の尻の穴をふさいでいるこけしに手をかけながら言った。
「……も、申し訳ありません。」
そのせいか、三助の声はすっかりうわずっていた。
「やっぱりおまえは、淫乱な豚だ。……どんな男にでもけつを振って、ちょっと扱かれただけで、よだれをたらして喜ぶんだな。」
ご主人は、また、ばしん、ばしん、と三助の尻を平手で叩いた。どちらかというと色白の三助の尻は、すっかり赤くなっていたが、それが、よけい、三助の尻を卑わいなものに見せていた。
主人は、今度は、三助のいきり勃った男根に手をかけた。そして、三助の男根を縛めている紐を見ると、
「おや、結び目が違うぞ？」
声を上げた。三助と別れる時に、俺が三助の男根を縛めてはおいたが、結び目にまでは気が回らなかった。
「え？」
三助も狼狽しているようだった。
「あれだけ言いつけておいたのに、いいように扱かれて、それどころか、この縛めを解かれて気を遣ったな？」
主人の声が、にわかに険しくなった。
「お、お許しください、あの方は悪くはございません。わたくしがつい、自分で解いてしまいました。」
三助は、あわてて言った。
「そんなに気持ちがよかったのか？」
主人に問い詰められて、
「いえ、旦那様に扱いていただくのとは比べものになりません。」
三助はそう言ったが、その言葉に俺の心が切なく疼くのをどうしようもなかった。
「ふん、そんなことはどうでもよい。おまえがわたしの言いつけを守らなかったことが問題だからな。」
主人の言葉は、三助を苛むように響いた。
「あ、どうか、お許しください。」
三助のその哀願の言葉は、主人の嗜虐心をよけいにそそりたてたにちがいない。
「もちろん、許してやろう。……たっぷりとお仕置きをした後でな。」
主人のその言葉を聞いて、三助の顔は恐怖で歪んだはずだが、俺には、むしろ、三助が夢見心地でいるように見えた。それからしばらくの間、主人は、電動の張型を三助の泣き所に執拗に押し当てたり、大股開きになっている三助の尻の穴にぬめぬめした液体のついた指を二本も三本も突っ込んでかき回したりして三助の体を苛んだ。そして、その都度、
「体中どこをいじられても悶えるなんて、おまえは本当に淫乱な豚だ。」
とか
「尻の穴をかきまわされてよがり声をあげるとは、本当に情けない奴だ。」
とか、主人は、いやらしい言葉で三助を責めるのだった。三助は、主人になじられるたびに、
「ああっ……、わたくしが悪うございました、旦那様。どうかお許しください。」
と許しを請う言葉を口にしたが、三助の体は、ほんのりと桜色に紅潮し、何よりも、ひもで縛り上げられている下腹部の男根は、三助の言葉を裏切って、真っ赤に充血した状態で、主人からの次の責めを待ちわびていた。俺は、それを見るとたまらなくなって、その部屋をこっそり抜けると自分の部屋に帰っていった。