次の日、課長は出かけていて、俺は、なんとなくのびのびした一日を過ごしたが、それは、嵐の前の静けさ、というやつだったのかもしれない。いつもなら直帰しそうな時間に課長が帰ってきて、俺のところにやってくると、
「おみやげを買ってきてやったぞ。」
どうでもいいような書類に紛らせて、俺にこっそりと小さめの紙袋を手渡した。
「なんですか、これ……?」
俺が尋ねると、課長は、
「ここじゃなくて、ロッカールームで試したほうがいいぞ。」
俺の机の上の書類を見るふりをしながら、俺の耳元でささやいた。
「え……?」
課長の息が耳たぶにかかったような気がして、俺は、ぞくぞくっ、と全身が反応してしまった。
「ちゃんとやっとけよ、業務命令だからな。」
きのうのことがあるので、俺は、オフィスでその紙袋を開けるようなことはせずに、そのままロッカールームへ急いだ。終業にはまだちょっと時間がったので、ロッカールームには誰もいなかった。
「あ……。」
紙袋の中をのぞいてみて、俺は、その紙袋を取り落としそうになった。紙袋の中から出てきたのは、スイッチのコードがついた、ピンク色の小さなバイブレータだった。もちろん、ケツの穴に埋め込んで、コードの先のスイッチを入れて、振動を楽しむ類のやつだ。
『業務命令だからな。』
課長の声が、俺の耳に響いて、俺は、ぐんぐんとビキニブリーフの中身が勃ち上がり始めるのを感じていた。
「こ、こいつを、どうしろって……。」
どう考えても、課長の業務命令は、俺のケツにこいつをぶち込んでおけ、ということだ。
「そ、そんな……。」
けれども俺は、ロッカーの陰に行って、ズボンのベルトを緩めると、ビキニブリーフといっしょにひざまでずり降ろした。前かがみになって、そのバイブレータをケツの穴に当ててみたが、
「そのままじゃ無理か……。」
俺は、そのバイブレータをなめて自分の唾でべとべとにしてから、もう一度自分のケツの穴に当てると、ぐいっ、と押し上げた。バイブレータが小さいせいもあって、それは、するっ、と俺のケツの穴に吸い込まれた。俺のケツの穴からは、スイッチのついたコードが伸びている。俺は、誰かがロッカールームに入ってこないうちに、急いで、ビキニブリーフとズボンを引きずり上げた。いつの間にか、俺のものは、無理矢理ビキニブリーフに押し込まなければならないくらい、ぎんぎんに勃ってしまっていた。ビキニブリーフに押し込んだ先端のところには、じわっ、と濡れ汚点ができてしまった。これで、スイッチを入れたら、どうなるんだろう。俺はできるだけそんなことを考えないようにしたが、ズボンのジッパーを引き上げるのは、突っ張っているビキニブリーフが邪魔になって、なかなか大変だった。
「こんな状態で、どうやって席までもどればいいんだろう……。」
俺がちょっと思案していると、ロッカールームのドアが開いて、いきなり課長が入ってきた。
「どうだ、ちゃんとケツに突っ込んだか?」
課長は、俺のズボンが斜め上に大きく盛り上がっているのを、なめるような目つきで確認しながら、低い声でそう言った。
「は、はい……。」
課長は、めざとく俺のズボンの外にたれているスイッチのコードを見つけると、いきなりそのスイッチを入れた。
「ああっ……。」
ぶうーん、と微妙な振動が俺の体の奥からこみ上げて、俺は立っていられなくて、思わず課長の肩にすがりついてしまった。
「そんなに気持ちがいいのか?」
課長は俺のズボンの盛り上がりを確かめるように撫で上げながら、俺の反応を楽しんでいるようだった。それから、ゆっくりと、根本から先端にかけて、爪を立てるようにしてひっかいた。
「うっ……。」
俺は、もっと強い刺激が欲しくて、思わずズボンの上から、ぎんぎんになったものを自分で握りしめてしまった。
「勤務中になにをやってるんだ。」
けれども、熱い肉の塊をつかんだ俺の手は、課長の手に邪険に振り払われてしまった。
「勤務中に自分で握ったりするようなスケベなことをするなよ。業務命令だからな。」
俺は、目を閉じて、体の奥からの不思議な快感に耐えるのに精一杯だった。
「それから、このスイッチも自分で勝手に切るんじゃないぞ、いいな。」
無情に言い放つと、課長は、俺の肩を押すようにして、
「さっさと仕事に戻るんだ。」
ロッカールームから俺を押し出した。俺は、地に足がつかないような感じで、かろうじて自分の席に戻った。俺の様子がおかしいのに気がついたらしく、
「どうしたんだ、気分でも悪いのか。」
隣の席のやつが心配そうに顔をのぞき込んでくれた。
「だいじょうぶ、ちょっと風邪かな。」
俺は、そう言ってごまかしたが、椅子に腰を降ろしたときに、振動の位置がより深くなって、思わず顔をしかめてしまったので、きっとよほど具合が悪いと思われたのだろう。
「今日は、早く帰った方がいいぞ。」
まさか、気持ち良くてどうしようもない、とは言えないから、俺は黙ったままうなずいた。書類を見るふりをしながら机の上に両手をおいて、俺は、ケツの穴の奥で振動しているバイブレータのスイッチを課長が切ってくれるのをひたすら待っていた。
おれが、上気した顔でじっと快感に耐えている様子をしばらく眺めていた課長は、おもむろに自分の席から立ち上がると、俺の方に歩いてきて、
「だいじょうぶか……。」
と、俺に声をかけた。そして、俺の顔をのぞき込むふりをしながら、俺のズボンから出ているコードを探り当てて素早くスイッチを切った。
「だ、だいじょうぶです……。」
俺は、ほっとして大きなため息をつきながらいった。
「そうか、今日は早く帰った方がいいぞ。」
課長はそう言ったが、俺は、今日も早く帰ったりはできないことがよくわかっていた。少なくとも、課長にこのバイブレータを引き抜く許可をもらうまでは、俺のビキニブリーフの中身は、びんびんのままに違いない。こんなにズボンの前を突っ張らせた状態で、どうやって帰ればいいんだ。
「ふう……。」
ケツの奥からの振動がなくなって、俺は、少し落ち着いて椅子に座り直したが、今度は逆に、さっきの強烈な刺激がなくなってしまったのが物足りなく思えてきた。
「……。」
あんなにスイッチを切って欲しかったはずなのに、俺は、つい、もじもじとケツを動かして、さっきの拷問のような振動に近い刺激を求めている。
「もう、だいじょうぶか?」
そんな俺の様子を課長が見逃すはずがなく、心配しているようなそぶりで俺に近づくと、また、俺のケツの奥に埋め込まれているバイブレータのスイッチを入れた。そのとたん、ぶーん、と俺の全身に、ケツの奥から、耐えられないような振動の刺激が走った。
『う、うっ……。』
まさか、オフィスで声を上げるわけにはいかないから、俺は、下唇をかんで、再び始まった強烈な刺激に耐えるしかなかった。こうして俺は、気ままなバイブレータの刺激にいたぶられ続けることになった。課長は、気が向いたときに俺のケツの穴の奥のバイブレータのスイッチを入れ、俺が耐えられなくなりそうになると、スイッチを切った。そして、俺がまた物足りなくなるのを見はからって、スイッチを入れることを繰り返したので、俺のビキニブリーフは、きっと、漏れ出した我慢汁で、もう、ぐちょぐちょに違いない。それどころか、どうやら、ズボンにまで濡れ汚点ができているようだった。
終業時間を過ぎて、まわりの人はどんどん帰り始めたが、オフィスが空になるのは、まだまだ先のことだ。
「も、もう……。」
俺は、何度目かのバイブレータの振動に耐えていたが、とうとう我慢できなくなって、トイレに駆け込んでしまった。一番奥の個室に入って、ズボンと先走りでぐちょぐちょになったビキニブリーフをいっしょにずり降ろすと、ビキニの中から飛び出してきたびんびんのものを、夢中でしごき始めた。先端の割れ目からあふれ出た我慢汁で、俺の手は、ぐちゅぐちゅと、卑わいな音を立てながら、なめらかに動いた。
「コンコン……。」
もうちょっとでいきそうになった時、乾いた音を立ててドアがノックされた。
「……。」
課長に違いない。
「コンコン……。」
こんな格好で……。ひざまでズボンをずり下げた俺の股間からは、粘液でてらてら光っているものがそそり勃っている。俺は、仕方なく、その格好のまま個室のドアを開けた。
「自分でやっちゃ駄目だと言ったじゃないか。」
課長は、とがめるような目付きで俺を見ながら、個室の中に入ってきた。
「カチャッ」
個室のドアをロックすると、課長は、俺のぬるぬるになっているものを、ぐっ、と握った。
「いきたいか?」
課長の声に、俺は、自分の腰を卑わいに前後に動かすことで答えた。課長の掌に握られている俺のものは、俺が腰を動かすと、かすかにぐちゅぐちゅと音を立てて、滑らかに前後に動いた。
『ああっ……。』
声を出さずに、俺はのけぞって悶えていた。課長はそんな俺を見て、満足そうに、ニヤッ、と口元を歪めて、俺のガチガチになったものを握っている手を、ずりずり、と何回か動かした。
『あうっ……。』
けれども、課長の手は、俺がいきそうになる寸前に、ぱっ、と離されて、そのたびに、俺は、むなしく勃ち上がったものを、ひくんひくん、とけいれんさせながら、どうしようもない感覚に悶えさせられる。
『い、いかせてくれ……。』
俺は、課長の手を自分で握りしめてから、自分で腰を前後に振って、課長の手の中で、大きく、びくんびくん、とけいれんさせながら、ビュッ、ビュッ、と噴き上げた。
「はあっ……。」
俺の精液は、個室のドアに、ビシッ、ビシッ、と当たって、どろっと滴った。
「ちゃんときれいにしとけよ。」
課長は、また、ニヤッと口元を歪めると、そのまま出ていこうとして思い出したように、
「おっと、これはもらっていくからな。」
と、俺のケツの中でまだうなりを上げていたバイブレータを、無理矢理引き抜いていった。俺は、急いで前屈みになってケツの穴を緩めて、課長の乱暴な行為に耐えた。
「そ、それは……。」
俺は、自分のケツの穴から引き抜かれたバイブレータをせめてトイレットペーパで拭こうとしたが、課長は、さっさとそのバイブレータをトイレットペーパに包んで持っていってしまった。
「……。」
俺は、しばらくの間、放心状態で、動くこともできなかった。
「ふう……。」
やっと落ち着いてきた俺は、個室のドアに派手に滴った自分の精液を、ゆっくりとトイレットペーパでふき取った。いつになく大量の噴射の跡に、さっきの快感を思い出して、俺の股間はまた堅くなり始めていた。