別れるときに教えた携帯のメールアドレスに、その副操縦士から、時々メールが届くようになった。どうやら、彼が惚れている矢倉機長と同乗したときに送ってくるようで、
『今日も矢倉さんと同じ勤務だったので、仕事中に勃ちそうになって困った。』
とか、
『今日は矢倉さんが、ホテルの部屋に誘ってくれたけど、部屋に入れてもらっただけで勃ってしまっているのを見られて苦笑されてしまった。』
とかいう他愛ないことから、
『矢倉さんにやられることを想像しながら、ホテルの部屋でディルドを使ってます。』
淫乱な内容のメールまで、いろいろだった。そして、そんなメールが届いたときには、電話がかかってきて、彼のオナニーにつきあってやることもあった。そして、彼のフライトと俺の出張のスケジュールがたまたま合ったときには、彼は必ず、ホテルの俺の部屋を訪ねてきた。そして、相変わらずの淫乱ぶりで、俺のどんな愛撫にも全身で感じてみせた。もちろん、派手に声を上げて悶えることはないが、我慢しきれずに漏らしてしまうあえぎ声が、かえって彼の快感を物語っているようだった。
「気持ちよかったです……。」
そして、終わった後の彼は、俺の腕枕の中で、ごくごく普通の真面目そうな男の表情に戻っていた。そして、俺という触媒で快感をむさぼった後の彼の心も、例の矢倉という機長のもとに戻っていくのだった。
「今日は、矢倉さんと一緒の勤務だったので、よけい感じてしまいました。」
そんな彼の台詞を聞いて、嫉妬しないわけではなかったが、むしろ、彼の矢倉という機長への思いをかなえてやりたい気持ちのほうが強かった。
 それで、俺は、ダメ元のつもりであざとい芝居を、彼に強要してみることにした。入念に彼のスケジュールを確認し、彼が矢倉という機長と一緒に勤務する日に合わせて、俺は彼らの宿泊先のホテルに部屋を取った。彼には、機長から誘われてもそれを断って俺の部屋に来るように言い聞かせ、さらに、彼には内緒で、俺は、例のグラハンのガテン野郎を部屋の中に誘い込んでおいた。
「最近、よく誘ってくれてうれしいっすよ。」
彼が来るまでには、まだだいぶ時間があったから、せっかくなので、とりあえず、こいつを押し倒して楽しむことにする。
「他にも遊ばなきゃいけない奴がいっぱいいるから、スケジュールの管理が大変なんじゃないのか?」
俺が、そう言って笑うと、
「俺には、兄貴だけっすから。」
奴は、ムキになってそう言って見せた。
「スケベなおまえが、時々しか来られない俺の身体だけで満足できるはずないだろ?どうせ、何人かのセクフレにがんがん掘られてるか……。」
俺が、そう言いかけると、奴は、マジな目つきで顔を横に振ってみせた。けれども、
「そうでなけりゃ、その淫乱なケツにディルドをぶちこんで慰めてるに違いないな。」
俺がそう言うと、奴はみるみる赤面して、
「……。」
言葉を失ってしまった。スケベなくせに、妙なところで純情なのがたまらなくかわいい。
「なるほどな。」
もちろん、俺は、面白いことを思いついて、自分のカバンの中から黒い棒状のものを取り出した。
「ほら、おまえの好きなディルドだぜ。」
そして、赤面したままきょとんとした表情のガテン野郎に投げてやった。
「え?」
奴も、すぐに、俺の意図を理解したらしく、
「か、勘弁してください、兄貴。そんなハズイこと、俺、できないっすよ。」
そう言う奴の顔は、さっきよりももっと赤面していて、まるで、『もっといじめて欲しいっす』と言っているようだった。
「何言ってるんだ、もっと恥ずかしいことも、いっぱいやってるじゃないか。俺の見てる前で、ディルドでオナニーしてみせるくらい簡単だろ?」
こういう前戯も好きなんだよな、こいつは。
「そ、そんな……。」
口ではそう言いながらも、すでにディルドを右手で逆手に握っている。
「俺のことは気にせず、いつもやってるとおりにすればいいんだよ。」
俺は、奴の下腹部に手を伸ばして、
「あっ……。」
すでにがちがちに堅くなったものを握って、それ以上奴が言い訳しなくていいようにしてやった。
「俺にディルドオナニー見て欲しくて、もうびんびんに勃ってるじゃないか。」
俺がそれを握って軽くしごいてやると、奴は、観念したようにうつむいた。
「ほら、これで、いつもやるようにケツの穴に突っ込んで見せろよ。」
俺の手渡したローションのチューブから粘液質の液体を絞り出すと、奴は、それをディルドとケツの穴に、ねっとりと塗り込んだ。
「俺に見て欲しいんなら、もっと見えるように両脚あげないと駄目じゃないか。」
ベッドに横たわって、俺に向かってM字開脚した奴に俺がそう言うと、奴は、
「ああっ、ハズイっすよ……。」
ケツにあてがったディルドを、ずぶずぶとケツの穴に埋め込みながら、欲情しきった目で俺の顔を見た。
「本当に淫乱なケツだな、こんなにくわえ込んで。」
俺が近寄って、ディルドをくわえ込んでいるケツののびきったヒダを指先で撫でてやると、奴は、
「いつも、こんなふうにオナニーしてるっすよ。兄貴に犯されることを想像しながらこんなふうにやってるっすよ。」
俺の指の動きに合わせるように、ゆっくりとディルドを出し入れし始めた。
「それだけじゃないだろ、こいつもしごいてるんじゃないのか?」
ケツにディルドをくわえ込みながら、びんびんのまま下腹部から勃ち上がっているものにローションを塗るつけると、がしがしと、乱暴なくらいにしごいてやった。
「ああっ、だ、駄目っすよ、そんなふうにされちゃ、気持ちよすぎるっす……。」
俺は、奴のケツの穴を犯しているディルドから奴の手を振り払って俺自身でそれを握り締めると、ぐりぐりとこね回すようにしながら抜き差しし始めた。奴は、両手で自分の乳首をつまみながら、ほおを紅潮させてうめき声を上げている。
「こんな作り物に犯されて気持ちいいなんて、どうしようもない淫乱野郎だな、おまえは。」
俺にそう責められて、
「ううっ、い、淫乱野郎っす……。」
奴は、目をつむって顔を左右にふりながら快感に耐えている。
「そんな淫乱野郎はお仕置きしてやらなくちゃ。」
俺は、わざと乱暴にディルドを引き抜くと、そのぽっかり空いたケツの穴に、さっきからいきり勃っている自分のものを、ぐいっ、と押し込んだ。
「あ、ああっ、入ってくる、兄貴のものが、入ってくるっす……。」
奴は、自分から腰を突き出すようにして俺のものを、どん欲にくわえ込んだ。
「ほら、気持ちいいんだろ?これが欲しかったんだろ?」
俺は、奴に卑わいな言葉をかけながら、ローションと漏れだした粘液でぬるぬるになっている奴のものを、ぐちょぐちょと、根本から赤黒くてかっている先端までしごき続けた。
「ああっ、そんなにされたら、俺、もう、我慢できないっすよ。」
奴は、俺のものを、ぎゅうっ、と締め付けるようにすると、切なそうな表情で俺を見て、
「もう、駄目になっちゃいそうです、こんなの初めてっす……。」
そう言うと、
「ああっ、駄目っす、兄貴、俺、もう我慢できないっす……。」
そのまま、ぶしゅっ、ぶしゅっ、と派手に胸や首筋のあたりまで、白く濁った液体を噴き上げてしまった。
「このくらいでいくなんて、根性が足りないぞ。」
そう言いながら、奴のケツの穴を犯している自分のものを、ぐいっ、と奥まで抜き差ししてやると、奴は、
「あうっ……。」
まだ感じている。
「こんなに飛ばしたくせに、まだ感じてるのか?」
もう一度、奥まで抜き差ししてやると、
「あうっ……、ケツは、別だから……。」
奴は、うっとりした表情で、俺にしがみついてきた。
「すごく飛んだな……。」
俺が、そのまま奴に覆い被さるようにしてkissしてやると、奴は満足そうに俺の舌を自分の口に迎え入れていた
 シャワーでざっと身体を流してしまうと、あんなに噴き上げておきながら、奴は、まだまだ物足りなさそうで、
「もうちょっと……。」
続きをおねだりし始めた。
「本当に、淫乱だな、おまえは。」
俺があきれたように言うと、奴は、
「兄貴のせいっすよ、何にも知らない俺をこんなふうにしちまって。」
思わず苦笑するようなことを平気な顔で言う。
「そうかな、最初に会ったときから、今と同じくらい淫乱だったような気がするけどな。」
俺が、そううそぶいても、奴は平気な顔で、
「兄貴に仕込まれて、こんなに淫乱野郎になっちまったっす。」
俺の手をとって、さっきあんなに派手にまき散らしたばかりなのに、もう堅くなっている自分のものを握らせようとした。
「まあ、そんなにがつがつするなよ。夜はまだまだ長いんだから。」
俺は、先端の敏感な部分を軽く指先で撫でてやって、奴の顔が快感に歪むのを楽しんでから、奴をそのままにしてベッドから出た。おあずけを喰らった犬そっくりの表情をして奴は、
「こんなになっちまって、もう我慢できないっすよ。」
赤黒く充血したものをしごいて見せたが、俺は、
「おまえもさっさとこれを着ろ。」
と、奴がいつも持ってきているつなぎを投げてやった。
「ただし、パンツははくなよ。」
俺のその言葉に、奴は、卑わいな匂いをかぎ取ったようで、急に表情を明るくすると、
「ええっ、そんなことしたら、俺が、勃ってるのが丸わかりっすよ。」
そんなことを言いながらも、嬉々としてそのつなぎを着始めた。
「いいさ、そのほうが喜んでくれる野郎だから。」
俺がそう言うと、奴は、ちょっと眉を曇らせて、
「誰か来るんっすか?」
つなぎのジッパーを胸の下あたりまで引き上げた。
「俺がおまえと最初に会ったときに、居酒屋でおまえんとこの機長と居合わせただろ?そのときに一緒にいたコパイだよ。」
俺は、奴にざっとこれまでのことを話してやった。そして、これからのことも話してやると、奴は、瞳を淫乱に輝かせながら、
「面白そうっすね。俺は、兄貴の言うとおり何でもやるっすよ。……そのかわり、後で、もう一回、俺だけで抱いて欲しいっす。」
最初は淡泊だったくせに、情が移ってきたのか、なかなかかわいいことを言う。
「俺じゃなくても、おまえをかわいがる野郎はいっぱいいるだろ?どうせ、俺よりディルドのほうがいいんじゃないのか?」
俺がそうなじってやると、ガテン野郎は、今度は瞳をちょっと潤ませながら、
「兄貴にもう一回やられたいんっすよ。そいつが帰った後でいいっすから、俺だけを抱いて欲しいっす。」
俺は、軽くうなずくだけにして、奴がもう一度おあずけを喰らった犬そっくりの表情をするのを楽しんでいた。