高橋先輩のこと 1

木曜日, 1月 31, 1980

 プールサイドも夕方になって日が陰ってしまうと、さすがにちょっと肌寒かったので、僕は上半身をざっとタオルで拭いて、Tシャツを着てからプールの後片づけをした。体はほとんど乾いているのに、競パンだけがじとっと湿っていて、気持ち悪いな、と思いながら、僕はプールサイドの更衣室へもどってきた。もうみんな帰ってしまっていて誰もいないと思っていたのに、開け放してあった戸口の中にはいると誰かが着替えていた。タオルで頭を拭いているその体つきは、きっと高橋先輩に違いない。こっちに背中を向けているのをいいことに、僕は、高橋先輩の体をしっかり観察してしまった。すごく逞しい背筋が、手の動きにつれてもくもく動いているのとか、すらっと伸びた脚からきゅっと締まった尻にかけての線とか、それに、すごくエッチなそれもほとんど透けてるような白のビキニとか。高橋先輩の裸なんか、プールサイドでいつも見てるはずなのに、僕は何だかどきどきしてしまって、競パンの中身がぐんぐん勃ってきてしまうのをどうしようもなかった。すっかり元気になってしまったものを、僕は、はみ出さないように注意しながら競パンの中で位置を直した。すると、急に高橋先輩が振り返って、
「なんだ、栗坂、もう片づいたのか?」
いつものさわやかな笑顔で言った。その笑顔に、僕の競パンの中身が、ずきん、となるのを感じたけど、Tシャツを着ているから高橋先輩には見えなかったはず、と僕は安心していた。でも、振り返った高橋先輩のビキニは、くっきりと中身を浮き立たせていて、先端のくびれ具合までわかるほどで、僕の視線は高橋先輩のビキニに釘付けになってしまった。
「どうした?」
高橋先輩の声でやっと我に返って、僕は、
「いえ、何でもありません……。」
あわてて高橋先輩に背中を向けて、自分も競パンを着替えようとした。
 けれども、こんなに突っ張ったままでは競パンを脱ぐのもままならないので、必死で目をつむって競パンの中身をなんとか静めようと努力していると、いきなり、
「栗坂……。」
僕は自分の首筋にいきなり熱い息を感じて、驚いて体を硬直させた。いつの間にか、高橋先輩が僕の後ろに立っていて、僕の両肩をその両手でつかんでいた。
「おまえ、さっき、俺のことを、じっと見てただろ。」
え?!
「更衣室に入ってきた時から、俺のことをじっと見てただろ。」
まさか、高橋先輩が気づいてたなんて。
「おまえが更衣室にはいいって来た時から、ずっと知ってたんだぞ。」
そういうと高橋先輩は、さっきから硬直しているものを、僕の競泳パンツ越しに、ぐっと握りしめた。
「せ、先輩……。」
僕はあわてて逃げようとしたのだけれど、先輩が僕の胸をもう一方の手で抱いてぐっと引き寄せたので、僕の背中はTシャツを隔てて先輩の逞しい胸と密着することになってしまった。その上に、先輩が下腹部を突き出すようにしたものだから、僕は、尻に先輩の熱い硬直をもろに感じてしまった。
 僕がどうしたらよいかわからないくておたおたしているうちに、高橋先輩の手が競泳パンツの中に侵入してきて、強く握ったりしたので、僕はもう少しで声を出してしまうところだった。
「俺の裸を見てこんなに興奮して……。」
先輩の指は、周囲の毛やもっと下の部分なんかも探って回った。
「プールから上がったばかりだから濡れてるのはわかるけど、それにしては嫌にぬるぬるしているぞ、栗坂……。」
高橋先輩は、僕の耳元でそんなことをいいながら、下腹部で活動している手とは反対の手で、Tシャツをまくり上げて乳首かなんかをころころともてあそんだりした。
「先輩、待ってくださいよ。このままだと汚してしまいますよ。」
僕はそう頼んだんだけれど高橋先輩の手は相変わらず競泳パンツの中で激しく活動していた。こうなったら、僕が競泳パンツの中を粘液で濡らしてしまうのはもう時間の問題みたいだった。
「今日は西岡にやってやったのか?」
まさか!と僕は思ったけど、そのまさかみたいだった。
「昨日はここで、西岡とやってただろ?」
西岡のことで今さら弁解の余地はなさそうだった。それとは別に、現実の快感のほうも、我慢の余地がなさそうだった。