昨日は、西岡がじゃんけんに負けて、要するにプールの後始末をすることになったのだけれども、僕は西岡を待ってやっていた。西岡が教官室へプールの鍵を返しに行ってる間に僕は着替えてしまって、それからベンチに座って、ポケッとしていた。
「悪いな、待たせて……。」
更衣室に帰ってきた西岡は、僕にそういったけど、どうもあんまり遺憾に思ってるような口ぶりじゃなかった。けど、僕は疲労感で体中がほてってるような感じだったので、あえてそれを追求するのはやめにした。
「どうでもいいから早くしろよ。」
人を待たせておきながら、西岡は、タオルを腰に巻いただけの、その下は競泳パンツもブリーフも何も着てない状態でうろうろしていたのだ。
「俺って、そんなに魅力ないかなあ……。」
「え?」
僕は一瞬、西岡が何を言ってるのか理解できなかった。
「わりと鑑賞に耐える体だと思うんだけどなあ……。」
僕はどきっとしたけど、聞こえなかったふりをした。
「早く服を着ろよ。風邪引くぞ。」
もちろん風邪を引くほど涼しくはなかったし、第一、西岡が風邪を引こうがどうしようが、僕はどうでもよかったのだけれども……。
そうしたら、西岡はいきなり僕の前に着て、腰に巻いていたタオルを取ってしまったのだ。
「なあ、俺の体どう思う?」
「いい加減にしろよ、いくら男同士だからって……。」
そこまで言いかけて、僕は言葉が詰まってしまった。なんと、西岡のわりと毛深い下腹部でおとなしくしてたものが、クレーンでつり上げられるみたいにして、ぐっぐっと成長し始めたのだ。もちろん僕の下腹部もそれに共鳴するように突っ張り始めたのだけれど、西岡が僕のことを見ているので、それを楽な姿勢にしてやることもできず、窮屈で困ってしまった。
「な、何やってるんだよ。」
僕は思わず目をそらしてしまったけれども、本当は、それからも横目でちらちら観察してたりなんかしてたのだ。西岡のはまだ半分包まれてて、ごつい体の割にはかわいいな、なんて思ってたら、西岡が腰と突き出してきたので、横を向いてた僕の、ちょうど顔の当たりに伸びてきた。今度は、脈にあわせてぴくぴく動いているそれを、見つめずにはいられなかった。
「栗坂、くわえてくれよ。」
何を言い出すのかと思ったら、西岡は、そんな勝手なことを言って、僕の頭をつかむと自分の下腹部にぐっと押しつけたのだ。けれども、それがすんなり僕の口におさまったということは、僕もいくらか同意してたということなのだろうか。
なんだかんだ思いながらも、僕は本能的にその意外と堅いものを思いっきり吸っていた。両手でよく締まった西岡の尻の肉をつかんで、舌でその皮をむいたり、なめたり、結構、と言うより大いに僕も楽しんでやってたみたいだった。その証拠に、その後ブリーフを見たら、粘液がにじんでいたみたいだったし……。
「あ、あ……。」
これはちょっと恥ずかしいのだけれども、西岡が僕の口の中で激しく脈打ち始めた時、僕は、ちょっと物足りなかったりしたのだ。
「飲んだのか?」
西岡はびっくりしたみたいに言った。
「すまない、こんなことをして……。」
今さら何を言ってるんだ。と、僕はおかしかったけど、あんまりこういうことを言うと、西岡のことだから、またいろいろと僕の悪口を考え出すに違いないので、口にするのはやめた。それで、その代わりに、
「いいよ、気にしてないから……。」
と、気にしてるふりをして言ってやったのだけど、すると、西岡はえらくオタオタしてしまって、僕は、西岡のちょうどいい弱みを握ることになったのだ。でも、西岡も半分本気だったみたいだし、僕も本当のところはうれしいハプニングだったのだ。それにしても、それを高橋先輩にのぞかれていたとは知らなかった。
僕は高橋先輩に脅迫されて、仕方なく先輩の下宿の部屋について行った。あの後で、競泳パンツをどろどろの粘液で汚してしまったのだけれど、それを脱いで服を着ようとしていた時、高橋先輩にその競泳パンツを取り上げられてしまったのだ。
「帰して欲しかったら、俺の部屋まで来い。」
なんて言われて、どうしようもなかったのだ。もっとも、高橋先輩が、単に、
「俺の部屋へ来ないか?」
と言っただけだったとしても、もちろん結果は同じだろうけども……。
「先輩、僕のパンツを返してくださいよ。」
明日も練習があるんだし、とにかくべっとりなった競泳パンツなんか、さっさと返してもらわないと困るので、僕は、高橋先輩の部屋にはいるとすぐに頼んだ。
「返してやってもいいよ。」
高橋先輩のこと 2
木曜日, 1月 31, 1980