結局、僕は、垣本の部屋まで連行されて、ベッドの上に留置されることになった。
「高校の時から……。」
垣本は何か言いかけて、僕の体の一部を握った手にぎゅっと力を込めた。
「ん?!」
垣本の手の動きを楽しんでいた僕は、垣本にそれを握らせたまま、上からおおいかぶさっていった。
「栗坂さんと、こんなこと……、やりたかった。」
僕なんか、全然素直じゃないし、意地悪く知らんふりして、
「こんなこと、って……?」
にやっと笑ってみせた。
「……。」
垣本は、首をぐっと持ち上げると、また、僕に……、キスしたのだ。
「相変わらず、理屈っぽいなあ……。」
垣本は怒ったような口調だったけど、なんだか、そんな僕の反応を楽しんでいるような感じもした。
さっきから、僕の下腹部でごろごろして邪魔なものをぎゅっと握り締めてやると、垣本はちょっと顔をしかめた。
「大きいなあ。」
ついでに耳たぶをなめながら言ったら、垣本の堅くなった部分が、ぴんと脈打った。
「栗坂さんのだって……。」
初めて気がついたような言い方だけど、お互い、今さら何を言ってんだろう、なんていう気もした。だって、垣本は、かわいい顔に似合わず淫乱だから、例の誘拐現場から車で帰ってくる途中、やたらと僕のものに触りたがるのだ。実際問題として、一般の方々は、どうやってあんな狭い車の中なんかでやれるのだろう、と疑問に思うわけなのだが、つまり車なんていうのは、いちゃいちゃといかがわしいハンドプレイをするためにあるのであって、断言しよう、セックスをするためのものじゃない。そんなわけで、お互いぬるぬるになるまでシコシコやっておきながら、車の狭さにそれ以上のことはあきらめて、まともなベッドの上で続きをやろう、と帰ってくるときに……。僕がシートを倒して寝ころんでいるのをいいことに、左手のあいてる時は、ごそごそと……。腹のほうから短パンの中に手を入れたり、パンツの裾から無理矢理引きずり出しておもちゃにしたりするのだ。事故らないかと思って、ひやひやしてしまった。
そんなことを思い出すと、ついでに、横を追い抜いていく車に気づかれるんじゃないかと、恥ずかしかったことも思い出してしまった。もちろん、気持ちよかったことも思い出したけど、それは、この際、本質的なことじゃないと思うのだ。
「垣本が、こんなに淫乱だとは思わなかったなあ。」
残念ながら、垣本が恥ずかしがるだろう、という僕の期待ははずれてしまって、
「淫乱でも何でもいいから、栗坂さん……。」
垣本は開き直って僕に迫って来た。これ以上ぐたぐたいうのは、やっぱりヤボだと思うのだ。本来、こういうことは特殊な声を除いては黙ってやるべきじゃないだろうか。なんて、そんなこじつけは、もっとどうでもいいことかもしれない。
「う、う……ん。」
垣本の舌と戯れていた唇を、垣本の首筋のほうへ移動すると、息が大きく弾んだ。逞しい胸板にのっている、まるでなめられるのを待っているようなかわいい乳首を吸ってやると、
「ああ……。」
垣本は、もがくようにして上半身を持ち上げたのだ。
乳首だけじゃなくて、垣本は体中いろんなところで面白いぐらい反応した。脇腹やへそのあたり、特に、体を裏返して、背中から尻にかけての辺をなめると、
「うう……あ。」
全身をけいれんさせて悶えるのだ。
「そんなに気持ちいいのか?」
広い背中におおいかぶさって、ついでに指で乳首をいたずらしながら尋ねると、
「あっ……。気持ちいいっていうのか変な感じ……。」
まともな言葉になっていないところがおかしかった。
「ふうん……。」
僕は、完全に面白がっちゃって、
「じゃあ、ここは?」
なんて、すっと脇腹を撫で上げたりして、
「あっ……。」
垣本は、背中に僕を乗せたままでのけぞった。
「どんな感じ……?」
やっと落ち着いた垣本の首筋をなめながら、また尋ねると、
「くすぐったいみたいだけど、気持ちいい。」
ということらしい。
「一晩中、こんなことやってたら、面白いだろうな。」
垣本の体を、あお向けにひっくり返しながら言ってやると、垣本は、びくっと体を震わせて、
「死んじゃうよ……。」
と言ったけど、そう言いながらも本当はやられてみたそうだった。
垣本の下腹部には、堅くなったものが、ぐっと反り返って息づいていた。
「いいか?」
僕がそれを指でピンとはじくと、垣本は、目をつむったまま、返事のかわりに、そこに力を入れてビクンビクンと動かしてみせた。そうしたら、垣本の気持ちを代弁するみたいに、そのガチガチのものの先端から、透明な粘液がふっとあふれ出したのだ。
「はあっ……。」
その粘液をなめるふりをして、ずるっと全体を吸い込むと、垣本は腰を持ち上げるようにした。
「……。」
垣本の暖かい肉体は、僕の口いっぱいになったけれど、さっきの粘液のせいか、汗の味がした。それとも、昼間海で泳いだときに、垣本がシャワーでそこをちゃんと洗わなかったから塩辛いのかな。あいてる手でもって、堅いものに付属してるものとか、もうちょっと後ろのあたりとかをぐりぐりいじりながら、口の中のものをなめ回しているうちに、
「ううっ……。」
垣本の体が激しくけいれんして、僕の口の中のものは、脈打ちながらなま暖かい液体を噴き出し始めた。
したけど、シートへ倒れ込んだところで、とうとう垣本につかまってしまった。