―おまえ、最近、冷たいなあ。
―どうして……？
―きのうだって、俺につき合わずにさっさと帰っちゃうし、何かあったんじゃないのか？
―別に……。
―じゃあ、どうして……。
―だから、今、こうして兄貴に腕枕してもらって……。
―埋め合わせってわけか？
―そういう意味じゃないけど……。だって、きのうの兄貴の知り合いが……。
―知り合い？……ああ、あいつのことか。
―なんだかつもる話もありそうだったから、邪魔だと思ったんだ。
―そんなことないさ。
―……それに、僕だって、話についていけないからつまらないんだ。
―なんだ、おまえ、ひょっとしたら、あいつのこと妬いてるのか？
―冗、冗談……！
―心配しなくったって、あいつとは、とっくの昔に縁が切れてるぜ。
―え?!兄貴、あの人とつき合ってたことあるの？
―なんだ、おまえ、知らなかったのか……？てっきり知ってて言ってるんだと思ってたんだけどな。
―僕は興信所じゃないんだからね。兄貴が昔どんな男とつき合ってたかなんて、いちいち知ってるわけないだろ？……でも、兄貴、ああいう感じの人が好きだったのか。へえ、初耳だなあ。
―俺だって、いろんな男とつき合ったから、いろいろあるさ。
―ふうん。
―なんだよ。そう言うおまえだって、いろんな男とつき合ってるだろ？
―ううん。僕は兄貴だけだもん。……嫌がる僕を、兄貴が無理矢理犯してさ。それまでの僕は、セックスのセの字も知らなかったのに……。
―こいつ、適当なこと言って……。誰が無理矢理犯したんだよ。そんなこと言うんなら、本当に犯しちゃうぞ。
兄貴の唇、煙草臭い唇。兄貴の指、僕の乳首をいたずらする指。兄貴の舌、僕の脇腹をくすぐる兄貴の舌。兄貴の……、僕の手の中で熱く膨らんだ……。