たまには奴に反論するべく、
「聞いたぞ。デートしてたんだって?」
僕が冷やかすと、
「え?……誰に聞いたんだよ。」
奴は結構あせっている。
「リバイバルだな。」
僕が決めつけるから、
「いっしょに酒を飲んだだけで、何にもなかったんだ。」
奴は何とか言い逃れをしようと、苦しい言い訳をしている。
「証拠はあがってるんだからな。」
間接的に、デートの相手からの証言も入手しているのだ。奴は、開き直ったのか、
「でも、結局、いらなくなったのは、やっぱりいらないんだ、なんて、実感したよ。」
そこまで言う。僕は、あきれてしまって、コメントするべき台詞も思いつかない。
「しょうがないなあ。」
どういう神経しているんだろう。
「でも、そう思わないか?」
おまえといっしょにしないでくれ。
「そんな経験がないから、わからない。」
奴は、受話器の向こうで深いため息をついてから、
「想像力のないやつ……。」
僕のことをそういうふうに言う。
「そういう想像力は持ちたくないよ。」
僕はあきれてしまって、受話器を握ったまま苦笑してしまった。
「……でも、今、若い子ともつきあってるらしいじゃないか。」
「まあな。」
奴は、今度は、あせることもなく肯定する。
「つきあってるんだろ?」
「一応な。」
もうちょっとうれしそうに言えよ。
「浮気したなんていうことが、ばれたらどうするんだよ。」
「えー、どうせわかりっこないからだいじょうぶだよ。」
何といういい加減。
「そんなふうに侮ってると、痛い目にあうぞ。」
「まあ、そういうことはないと思うけどな。」
この自信がどこからくるのか知りたい。
Dreaming Interlude(僕の悪友との電話)
火曜日, 4月 29, 1997