Dreaming Interlude(僕の悪友との電話)

火曜日, 4月 29, 1997

「どうして、みんなおまえみたいなのに狂うのかなあ。」
「なんだよ。」
「こんなにいい加減な奴なのに……。」
「そんなことないよ。俺は、いつも誠心誠意……。」
あ、そ。そういう台詞をおまえから聞きたくはなかったよ。
「なにか、よっぽど怪しいことをやってるんじゃないのか?」
「どういう意味だよ。」
「だからさ、媚薬かなんかでとりこにしてるとか、ロープとローソクでたらし込んでるとか……。」
「人聞きの悪いことをいうなよ。俺は、ちゃんとセーフセックスを守ってるよ。」
そこまでは尋ねてない。
「一回使って、使い捨てだもんな。」
「そんな、使い捨てられてるのは俺のほうじゃないか。」
その台詞を、おまえが今までに食い散らかした奴らに聞かせてやりたい。
「だってさ、前につき合ってた奴だって、『もっと僕のことをかまってくれる人がいい』なんて、しっかりふられちゃったんだぜ。」
「そいつはなかなか見る目のある奴じゃないか。」
「しかも、乗り換え先までしっかり見つけちゃって……。」
うーん、それは、ちょっと節操がないかもしれないけど、世間じゃよくある話のような気がする。
「でも、そのわりには、おまえも淡々としてるじゃないか。」
「まあな、俺もいい加減飽きちゃって、そろそろいいかなあ、と思ってたところだから、ちょうどよかったというか……。」
本当に、なんていう奴なんだ。
「それで?」
「だから、『残念だな』って言って、それっきり。」
「それってさ、思うんだけど、おまえが邪険にしたから、その子があんまりかまってもらえなくて寂しかった、っていうのが真相なんじゃないか?」
「そんなことないよ。……会うたびにちゃんといかせてやってたのに。」
どうしてそういう生々しい話になるんだよ。
「そういう問題じゃないだろ。」
奴は、ふふん、と鼻で笑って、
「ところが、そういう問題なんだ。結局のところ、あいつはセックスが好きだったんだよな、俺じゃなくて。」
「……。」
思わず絶句してしまう。
「ベッドの中で、あへあへ言わせてもらうのが、あいつの言う『かまってもらう』ってことさ。」
そこまで断言しなくても。
「だから、いかせてさえくれるんなら、誰だっていいわけさ。」
「……。」
さすがに俺は、返す言葉がなかった。